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良いものを知ってこそ、良い作品ができる 刀鍛冶 吉原義一

2017年01月10日 公開

<連載>一流の職人に学ぶ「仕事の流儀」 第2回

良いものを知ってこそ、良い作品ができる

職人の仕事を通じ、仕事で大切なことを学ぶ本連載。第2回目は、史上最年少で「無鑑査」の称号を手にした、刀鍛冶・吉原義一氏にお話をうかがった。

 

刀鍛冶以外の職業は考えられなかった

 現在、日本には250~300人の刀鍛冶がいるが、日本刀の製作だけで生計を立てているのは30人弱。その中でトップクラスの実力を誇るのが、吉原家の四代目刀鍛冶、義一氏だ。

「曾祖父が昭和の初めの頃に刀鍛冶を始めました。敗戦後、GHQの政策で日本刀が作れなくなり、一時的に鉄工所へ転業しましたが、それでも曾祖父は鉄工所の片すみで日本刀を作っていたようです。昭和27年頃になってようやく日本刀の製作を再開することができ、現在に至ります」

 義一氏の父である義人(よしんど)氏も、日本を代表する刀鍛冶だ。メトロポリタン美術館を始めとした海外の美術館にも数多くの作品が収蔵されているという。また、義一氏の叔父も刀剣界の重鎮。映画『ラストサムライ』に刀鍛冶役で出演したこともあるそうだ。

「このような環境ですから、刀鍛冶になるのはごく自然なことでした。他の道に進もうと思ったこともありません。18歳で父に弟子入りをし、5年後に正式に刀鍛冶になりました」

 刀鍛冶になるには、最低でも5年かかるのだという。4年間修行をした後、5年目で文化庁の試験を受ける資格が得られ、それに合格した者だけが刀鍛冶を名乗ることができる。

「一般に刀鍛冶の修行は、仕事を見て一連の流れを覚え、ホド(炉)を熱するための炭を切るところから始まります。ですが、私は子供の頃から親の仕事を見て覚えていたので、いきなり鍛錬※から始めることができました。だからこそ、最短の5年で刀鍛冶になることができました」

※鍛錬とは、日本刀を作る作業工程の1つ。日本刀の原料である玉鋼(写真)をホドで熱し、原料を叩いて薄く打ち延ばし、折り返して重ねていく。15回ほど折り返すことでおよそ3万の層ができ、強靭な日本刀へと仕上がっていく。

日本刀の原料である「玉鋼」。希少価値が高いため、一振りを作り損ねるだけでも、多額の損失に。それでも義一氏は、「失敗しなければ、仕事は覚えられない」と弟子に製作の機会を多く与えている。

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著者紹介

吉原義一(よしわらよしかず)

刀鍛冶

1967年、東京都生まれ。85年、父である義人のもとで修業を開始し、5年後に文化庁認定刀匠となる。その後、高松宮賞、文化庁長官賞など数々の特賞を総なめにし、36歳で審査なしで展覧会へ出品できる「無鑑査」に認定された。

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