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「心が折れる職場」は なぜ生まれるのか?

2017年02月10日 公開
2017年02月10日 更新

見波利幸(日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事)

メンタル対策をしない経営者は失格

 職場でメンタル不調者が増加する背景には、社会の競争が激化し、効率重視のマネジメントが幅を利かせていることがある。商品やサービスの品質は完璧が求められる一方で、予算や人員には限りがある。企業が存続していくためには仕方がないとはいえ、極度の効率重視、業績重視のしわ寄せは末端の社員に向かうことになる。「この事実を経営層が直視しない限り、職場のメンタル不調はなくならない」と見波氏は警鐘を鳴らす。

「メンタル不調を引き起こす職場環境が、その会社の体質であるのなら、末端の社員がどうこうできるレベルではありません。従業員が安全・健康に働くことができないなら、それは安全配慮義務違反。明らかな法律違反です。経営層がそれに気づかず、職場のメンタルヘルスの問題を中間管理職任せ、本人任せにするのは間違っています。経営層はまずはそのことを認識しなければなりません。

 そのうえで、経営層は従業員のメンタルヘルス問題に本気で取り組む方針を明確に掲げるべきです。予算をつけて対策を講じるなどして、組織ぐるみでメンタル不調をなくしていくということを、全従業員に浸透させなければなりません」

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著者紹介

見波 利幸(みなみ・としゆき)

〔一社〕日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事

1961年生まれ。大学卒業後、外資系コンピュータメーカーなどを経て、98年野村総合研究所に入社。メンタルヘルスの黎明期より管理職向け1日研修を提唱するなど、日本のメンタルヘルス研修の草分け的存在。現在はエディフィストラーニング㈱(キヤノングループ)の主席研究員として、研修や講演、カウンセリングや職場復帰支援を行なう。著書に、『劣化するシニア社員』(日経プレミアシリーズ)など。

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