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FREETELは「日本のモノ作り」で世界一のメーカーになる

2017年02月25日 公開
2023年01月23日 更新

増田 薫(プラスワン・マーケティング代表)

 

常識は変わる。それなら、私が変えたい

 

 ――メーカーとして端末に力を入れていることはよくわかりました。MVNOとして、通信に対してはいかがでしょうか?

増田 やはり、ものすごく力を入れています。たとえば、昨年から「W(ダブル)増速マラソン」という取り組みをしています。これは、毎月2回、回線を増やして、通信速度が落ちないようにするものです。

 また、最新のシステムをうまく組み合わせることで、通信速度を落とさずにSNSパケット代無料などを実現することができています。私がMVNOをやろうと思ったのはデルにいたときなのですが、デルはグローバル企業なので、世界中のMVNOの事例を集めることができました。成功しているMVNO、失敗しているMVNOの事例をかなり勉強する中で、目をつけた技術です。

 ――「通信速度に難はあるけれども、とにかく通信費が安い」では、ユーザーに選んでもらえない?

増田 もし吉野家の牛丼がまずかったら、安くても食べに行かないでしょう? 「安かろう悪かろう」ではマーケットで勝負できません。

 ユーザーに買っていただいてこそ、ビジネスは回ります。じゃあ、なぜそのユーザーのことを考えないのか? 当社はユーザーのために端末に徹底的にこだわるし、SIMにも徹底的にこだわります。

 こだわりますが、端末だけ、あるいはSIMだけ、FREETELのものを使いたいというユーザーがいるのであれば、そうしていただいてもかまいません。ユーザーのことを考えれば、「しばり」を設けるべきではありませんから。

 ――契約してから2年以内に解約をすると違約金が発生する「2年しばり」も、御社にはありませんね。

増田 だいたい、新製品を出すサイクルが2年よりも短いのに、なぜ2年間、乗り換えられないようにしているのか? 不思議でなりません。そのために、使ってみたい新しい端末が発売されたり、使っている端末の画面が割れたりしても、我慢して今の端末を使い続けている人が多いでしょう。

 確かに、端末の代金を2年間かけて分割で支払いたいというユーザーもいますから、それは否定しません。当社にも「スマートコミコミプラン」という分割払いのプランがあります。ただし、半年以上使っていただければ、分割払いの残金はナシで別の端末に乗り換えられる「とりかえ~る」というサービスを提供しています。新しい端末の代金に残金を上乗せすることはしません。

 ――画期的なサービスですね。

増田 5年前の常識と今の常識は違いますし、今の常識と5年後の常識は絶対に違うと思います。常識は誰かが変えるわけです。だったら私が変えたい。

 変えるときに羅針盤になるのは、利益ではありません。ユーザーが良いと思うかどうかです。ユーザーが良いと思えば、それが新しい常識になります。我々はユーザーの軸でしか考えていません。別に利益を出すために生まれてきたわけではありませんから。人生は1回なんですから、本当に納得できることをやりたい。

 私はソースネクストに入社した29歳のときに初めて社会人になって、ひたすら店頭で販売をしていました。お店が好きなんです。お客様に無理難題を言われると気持ちよくて仕方がないんですよね(笑)。解決できるチャンスがあるわけですから。今も同じ想いで仕事をしています。

 

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著者紹介

増田 薫(ますだ・かおる)

プラスワン・マーケティング〔株〕代表取締役

1972年、東京都生まれ。ソースネクスト〔株〕、Lenovo Japan、Dell Japanで営業部門の責任者を歴任。2012年、プラスワン・マーケティング〔株〕を起業。

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