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イマドキ社員を動かす「質問のコツ」とは?

2017年05月02日 公開
2023年04月06日 更新

青木 毅(質問型コミュニケーション協会代表理事)

部下が育たないのは上司の声がけに問題あり

管理職

「なんでこんなこともわからないんだ!」

……部下に対してつい言ってしまいがちなこんなセリフ。だが、ここでイライラしたところで、部下が育つわけではない。
では、どうすればいいのか。

自ら考え、動く部下を育てるには「質問」が有効だと語るのは、営業マン育成などを手がけ、『仕事を円滑に進めるには、まず上司が部下に質問しなさい』などの著書もある青木毅氏。その「質問のコツ」をうかがった。

 

部下の相談に「最悪の対応」をしていませんか?

「あ~、わかった。じゃあ、こうしておいて!」

「えっ? なんで、こんな簡単なことがわからないの?」

「まあ、大変だけどやるしかない! 必ず結果は出る!」

上司であるあなたは、部下との会話のなかで、このような言葉を発していないでしょうか?

部下からの仕事の相談に対して、丁寧に答えることなく、一方的に指示を出す。部下をバカにしたような言葉を発して、経験に基づく考えを押しつける。あるいは、相談してきた部下を精神論だけでただただ励ます……。

仕事をうまく進められず相談を持ちかけた部下にとって、上司からこのような言葉を返されては、気持ちがゲンナリするばかり。当然、モチベーションも上がらず、結果を出すこともできません。

 

「コイツはダメだ」と嘆いたところで、部下は育たない

より具体的には、こんな会話になっていないでしょうか?

上司「今週はどうだった?」

部下「はい。目標の5件中、結果は3件です」

上司「なるほどね、何で2件決まらなかったの?」

部下「はい。先方も忙しくて時間をあまり取ってもらえず、詳しい案内ができなかったんです」

上司「なるほど。それで?」

部下「決まってはいないのですが、検討はしてくれるということです」

上司「そうか。検討するっていうのは弱いな。わかってるか?」

部下「あ……はい……」

上司「なぜ、そう言われるかわかるか?」

部下「いえ……」

上司「検討すると言われたときの対処を準備していなかったからだよ。前も言っただろ」

部下「あ……はい。すいません……」

上司の役割は、ズバリ、部下の育成にあります。「目標を達成し続けることにコミットし、そのための手段や方法を考え続ける部下」を育てていかなければいけません。「こいつはダメだな……」などと嘆いていても仕方ないのです。「仕事のできない部下だ」と感じるのは、上司であるあなたの責任だからです。

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著者紹介

青木 毅(あおき・たけし)

質問型コミュニケーション協会代表理事

(株)リアライズ代表取締役。一般社団法人質問型コミュニケーション協会代表理事。
飲食業・サービス業・不動産業を経験後、米国人材教育会社代理店に入社。セールスマン1000名以上の中で、5年間の累計業績1位の実績を上げる。1997年にリーダーシップ部門代理店へ移籍。98年には個人・代理店実績全国第1位となり、世界大会で世界大賞を受賞する。2002年に独立し、(株)リアライズ(本社: 京都府)を設立。企業経営者・幹部・個人に対する人材育成・能力開発・コーチングなどのコンサルティング・研修・講演などを行う。08年、質問型コミュニケーション(コーチング)を開発し、大阪府職員、大阪府警の要請を受けスタート。さらに08年、自身の営業ノウハウの質問型営業を開発。質問型営業のコンサルティングでは3カ月で実績を確実に上げるということで評判を得ている。15年、一般社団法人質問型コミュニケーション協会を設立。社内・一般向けに質問型コミュニケーションの普及をスタート。主な著書に『「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』『3か月でトップセールスになる 質問型営業最強フレーズ50』(どちらもダイヤモンド社)、近著に『図解 新人の「質問型営業」』(同文舘出版)がある。

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