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中高年の不調を改善する「60点の生活習慣」

2017年05月25日 公開
2023年04月06日 更新

米井嘉一(同志社大学教授)

果物と乳製品だけでも口にしよう

ベストは、朝の食事をバランス良く食べること。しかし、そんな時間はないという方は、とりあえず「食べる習慣」を身につけるだけで構いません。というのも、朝を抜いて昼食を食べると、血糖値が一気に上昇し、それを下げようとすい臓に負担がかかるからです。

これを繰り返すと、すい蔵の機能が低下し、糖尿病になる危険があります。忙しい朝は、調理の手間のかからない果物と乳製品がお勧め。適度な糖分やビタミンで、朝に必要な最低限のエネルギーと栄養を摂取できます。

 

いつもより30分早起きして朝日を浴びよう

集中力の高い朝を有効に活用する「朝活」が注目されています。しかし、残業や接待が続けば、毎日早朝に起きるなど無理な話。ならばせめて、身体のエンジンをかけるために、いつもより30分早く起きてみてはいかがでしょうか。

家を出るギリギリの時間まで寝ていると、身体が睡眠モードから切り替わらないまま、午前中の仕事をしてしまうからです。身体を覚醒させるには、朝日を浴びるのがお勧め。いつもより30分早く起きて朝日を浴び、1日のリズムを作り出しましょう。

 

5階までは階段を使おう

朝に適度なジョギングをしてから出社したり、自転車で通勤するビジネスマンが増えています。ただ、通勤時間が長い人は、そんな時間を確保するのも難しいでしょう。ならば、せめて「オフィスでは5 階まで階段を使う」習慣をつけましょう。

階段を登る際、太ももの前面にある大腿四頭筋を使うのですが、この筋肉は身体の中で一番大きな筋肉なので、とても効率よく脂肪を燃焼させられるのです。自転車通勤に匹敵する運動量を確保することができます。

 

高タンパク低カロリーの食品を追加しよう

昼食では、栄養バランスのよい手作り弁当を毎日持参したいところですが、忙しいと菓子パンやうどんなど、簡単に済ませられる食事に偏りがち。そんな方にお勧めなのが、そこに高タンパク低カロリーの食品を1品加えること。

昼食は、炭水化物とタンパク質と脂質の割合を、6:2:2 にするのがベストですが、どうしても炭水化物が過多になり、タンパク質が不足してしまうからです。コンビニで販売しているサラダチキンや生卵、納豆などの食材がお勧めです。

 

眠くならないような食べ方に変えよう

昼食後、猛烈に眠くなって困ることはないでしょうか。そんな人は、昼食の食べ方を変えてみましょう。具体的には、炭水化物を摂りすぎないこと。炭水化物の代わりに、高タンパクの品などに置き換えるといいでしょう。

炭水化物を摂りすぎると、血糖値が一気に上がり、大量のインスリンが分泌されます。インスリンは別名「休息ホルモン」と呼ばれ、分泌されると眠くなるのです。ただし、眠くなるからといって昼食を抜くのは逆効果。血糖値が低すぎる場合も、身体が脳を休ませようとするからです。

 

90分に1度、立ち上がってストレッチをしよう

長時間のデスクワークは肩こりや腰痛の原因に。これを防ぐには、背筋を伸ばし、骨盤が椅子の座面と垂直になるように座るのがベストですが、実はこの座り方、相応の筋力が必要。

長時間この姿勢を維持するのは難しく、徐々に顎が出てきて背中が曲がってきてしまいます。そこで、90分に一度は席から立ち上がって、悪い姿勢をリセットする習慣をつけましょう。定期的に首や肩の筋肉を伸ばし、身体を柔軟に保つことで、正しい姿勢に戻すことができます。

 

「眼を使わない趣味」を習慣にしよう

現代のビジネスマンはパソコン作業が多いうえ、仕事が終わってからもテレビやスマホなど、常に目を酷使しています。目を酷使すると交感神経が高まった状態が続き、神経が休まりません。

とくにパソコン作業が多い人は、帰宅中や帰宅後は「眼を使わない」趣味を持つのがお勧めです。たとえば、音楽やラジオを聞くといったことです。目以外の器官を使うことで、酷使していた脳内の目の領域を休ませることができます。

 

夕食で帳尻を合わせよう

毎食毎食、栄養バランスを整えるのは難しいものです。とくに忙しい朝やお昼は軽食やどんぶり物など、栄養の偏ったもので済ませがち。ならば、せめて夕食で1日の栄養バランスを整えるようにしましょう。

ポイントは、不足しがちな野菜や果物をどう補うか。昼の定食に野菜が少なければ、夜は多めにするといった具合で調整しましょう。また、野菜不足が2~3日続いてしまった場合は、1週間でつじつまを合わせてバランスを整えるのもOKです。

 

入眠しやすい条件を整えよう

本来は、同じ時間に寝て同じ時間に起きることで睡眠のリズムを一定に整えるのがベスト。ただ、仕事が終わる時間が不規則で、一定の時刻に就寝することが難しい人もいるでしょう。

ならば、「睡眠の質」を高めることを意識してください。質の高い睡眠をとると、疲労回復に欠かせない成長ホルモンを多く分泌できるようになり、ストレスホルモン・コルチゾールの働きを抑えることができるからです。

その最も簡単な方法は「寝具」にこだわること。中でも最も安価で手に入るのが「アイマスク」。暗い場所では副交感神経が活発になるため、身体を休息モードに切り替える助けになります。

(『THE21』2017年5月号「なぜか仕事ができる人の習慣」より)

 

著者紹介

米井嘉一(よねい・よしかず)

同志社大学教授

1958年、東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。『なまけ者でも無理なく続く77の健康習慣』(SB新書)など著書多数。

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