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780人の社員全員を記憶する社長の秘密とは?

2017年06月09日 公開

重永 忠([株]生活の木 代表取締役社長CEO)

 

記憶を確かにする「予習」と「復習」

 人との関わりをとことん楽しみ、社員にもその楽しさを伝えている重永氏。その姿勢は社外の人物と接するときも一貫している。

「会う約束をしている人について、データがあればそれを見て予習しますし、ない場合も、どんな人なのかを想像して『楽しみだなぁ』と思います。毎晩、寝る前には翌日会う人のことを必ず考えるのが日課。そのプロセスを経ると、実際にお会いしたときに印象がより深く刻まれます。

 会ったことのある方なら、前に会ったときの目的、話の内容、そのときの情景などをおさらいして、記憶を呼び起こしておきます。これは予習であると同時に、復習とも言えますね」

 復習は、会ったあと「すぐに」行なうことも重要だと語る。

「社員に関しては専用のノートがあって、食事会や店舗訪問などの直後に、交わした会話の内容を書きとめます。他方、社外の方とお会いしたときに行なうのは『名刺の復習』。帰りの電車の中などで、交換した名刺1枚1枚見返します」

 この日、同社を訪れた取材陣の名刺も「このあと、必ず見ますよ」と重永氏。

「印象が強く残っているうちに見るのが、記憶を消さないコツです。それにより、時間を置いて再会したときも必ず記憶がよみがえります。顔を見て声を聴いて、『ああそうそう、この人だった』と。その感覚が、人と会う楽しみをさらに増してくれるのです」

≪取材・構成:林 加愛 写真撮影:まるやゆういち≫
≪『THE21』2017年7月号より≫

著者紹介

重永 忠(しげなが・ただし)

[株]生活の木 代表取締役社長CEO

1961年、東京都生まれ。東京経済大学卒業後、大手流通業を経て、ハーブ・アロマテラピーの製造・販売を行なう[株]生活の木に入社、代表取締役に就任。現在、日本全国に直営店120店、提携店90店を展開する。商店街振興組合「原宿表参道欅会」副理事長も務め、地域に根差した幅広い活動を行なう。著書に、『まかせる経営』(PHPビジネス新書)。

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