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指示をするとき「あとで」「ちょっと」と言ってはならない!

2017年09月04日 公開
2023年03月31日 更新

前川孝雄(FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)

定例の情報共有タイムで報連相のムダを排除!

最近は、プレイングマネジャーとして多忙な上司が増えています。そのため部下が報連相するタイミングをつかめず、仕事の進め方を誤った結果、取り返しのつかない事態を招くこともあります。そうならないよう、必要なときにコミュニケーションを取れるようにするには、次の二つの方法があります。

一つは、報連相の時間をあらかじめ設けておくことです。たとえば、毎週月曜日の朝九時から十時までを定例の情報共有タイムと決めておき、急ぎではない報連相はこの時間を利用するようにします。

もう一つ、緊急を要する報連相については、全員のスケジュールをオープンにしておくことで、部下は上司の空き時間を確認して報連相を行なうことができます。私の会社ではグーグルカレンダーやドライブを活用していますが、こうしたITツールを使えば、互いのスケジュールや進捗を把握でき、報連相のために声をかけやすいはずです。

さらに言えば、上司からの声かけがあれば、なお良いでしょう。「今週は水曜の午前中に比較的余裕があるから、何かあれば相談して」と声をかけておきます。このように、定例での時間の確保や、スケジュールの見える化と上司からの声かけを習慣化することで、報連相をスムーズに行うことができます。

 

「すべて監視する」姿勢は生産性を低下させる

こうした環境作りに加えて、本人の役割設定や目標設定を明確にしておくことが、実は仕事の効率を高めるために最も大事なことだと思います。

たとえば、プロジェクトの立ち上げのタイミングで、上司は部下に対して、部下に求める役割と目標を示し納得させます。そのうえで、目標達成のためのプロセスは、部下本人に設計させます。部下の行動をすべて管理しようとする上司がいますが、これでは部下のやる気を削いでしまいます。ゴールは上司が決め、プロセスは本人に任せる。これがメンバーの自律的な動きを促すうえで非常に重要です。

プロジェクトがスタートしたら、定期的に面談を行ない、本人が設定したプロセスどおりに進んでいるか確認します。基本的にはメンバーの自律的な動きに任せながらも、軌道修正や問題解決をサポートする時間を定期的に設けておくことで、結果的に仕事の生産性や効率アップにつなげることができるのです。

 

《『THE21』2017年8月号より》

著者紹介

前川孝雄(まえかわ・たかお)

〔株〕FeelWorks 代表取締役/青山学院大学兼任講師

1966 年、兵庫県明石市生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒。〔株〕リクルートで『リクナビ』『就職ジャーナル』などの編集長を務めたのち、2008 年に〔株〕FeelWorks 設立。「上司力研修」「50 代からの働き方研修」などで400 社以上を支援。2017 年に〔株〕働きがい創造研究所設立。〔一社〕企業研究会研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業審査員なども兼職。
独立直後には、「700 通の挨拶状を送るも反応ゼロ」「仕事の依頼がなく近所の公園で途方に暮れる」といった挫折を味わう。そこから立ち直った経験から、近年はミドルの転職・独立・定年後のキャリアの悩み相談に乗る機会も多い。
著書は、『上司の9割は部下の成長に無関心―「人が育つ現場」を取り戻す処方箋』(PHPビジネス新書)、『「働きがいあふれる」 チームのつくり方』(ベスト新書)、『「仕事を続けられる人」と「仕事を失う人」の習慣』(明日香出版社)、『もう転職はさせない! 一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)など多数。

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