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自分の満足より、相手への「もてなし」を 日本画家 アラン・ウエスト

2017年08月09日 公開

一流の職人に学ぶ「仕事の流儀」第8回

日本画や西洋画といったジャンル分けは意味がない

 大学への進学が決まり、入学を目前に控えた夏の終わり。アラン氏にある公募展で後の人生を決定づける出来事が起こった。

「私の絵を見たお客さんが、私の絵を見て『日本で使われている技法で描かれた絵と似ているね』と言ったのです。顔料に兎のニカワを混ぜて絵の具を作るなど、独自の発明だと思っていた技法がすでに日本にあっただなんて、とてもショックでした」

 アラン氏は、植物を表現するにあたって、思い通りの線を描けない油絵の画材には不満があり、試行錯誤を重ねながら絵の具やキャンバスを製作していたのだという。ただ、がっかりはしたものの、試行錯誤した時間は無駄ではなく、大切な経験だったと振り返る。

「画家だけでなく、表現を生業にする人間にとって、自分のスタイルを模索するのは大事な仕事。魅力的な作品には、必ず自分なりの表現があるものです。自分なりの表現は簡単に習得できるものではなく、試行錯誤して手に入れるものなので、若い頃からそうした経験を積んでよかったと思います」

 また、自分の求める絵の技法が確立されていることに安心もしたという。

「すべて自己流でやっていましたから、上手く描けるときもあれば、描けないときも多々ありました。でも、技法を学べば、上手く描けたときの再現性が高まるはず。この頃から、日本画の描き方や画材に興味を持ち始めました」

 その後、アラン氏は、カーネギーメロン大学で1年間デッサンなどを学んだ後、来日。2年かけて日本画を研究し、納得のいく画材を探し歩いた。ここで油絵から日本画に転向したのかと思いきや、そうではないという。

「私の中で日本画を描いているという感覚はとくにありません。日本画や西洋画といったジャンルに分けてしまうと、作品の幅が狭まってしまうからです。それよりも、いかに植物を美しく描くかを追求した末に、日本画の表現が最適だったという感じです」

掛け軸や版画を始め、屏風や襖絵などさまざまな対象に絵を描く。写真は、パネルに描いた龍を、アトリエの天井にはめ込んだ作品。

古道具屋で見つけた明治期の「絵ハガキ」と「矢立」 >

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著者紹介

アラン・ウエスト(あらん・うえすと)

日本画家

1962年、ワシントンDC生まれ。98年、カーネギーメロン大学芸術学部絵画科を卒業後、東京藝術大学日本画科 加山又造に師事。99年、台東区谷中にアトリエ兼ギャラリー「繪処アラン・ウエスト」を構える。注文制作を中心に、植物をモチーフとしたさまざまな作品を手掛ける。

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