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社会人なら知らないと損する「お金の常識」とは?【後編】

2017年10月04日 公開
2023年03月23日 更新

大江英樹(経済コラムニスト/オフィス・リベルタス代表)

1.所得控除による税金のメリット

 所得控除と言われてもよくわからないかもしれませんが、年末調整でお金が戻ってくると言われると、すぐにピンと来るでしょう。このiDeCoは積み立てた掛金が、自分の所得から全額控除されるので、所得税、住民税ともに安くなります。具体的に、30歳で年収420万円のサラリーマンが毎月2万3000円(これが積立額の上限金額です)を積み立てた場合、どれくらい安くなるのでしょうか。

 年収は420万円ですが、各種控除を引いて、税金がかかる課税所得が200万円というケースで考えてみましょう。住民税は一律で10%と決まっており、所得税は収入に応じますが、この場合はこちらも10%程度と考えます。すると、iDeCoを使っていない場合の年間課税金額は、住民税と所得税合わせて200万円の10%×2=40万円になります。

 これがiDeCoで毎月2万3000円を積み立てていた場合、年間で2万3000円×12か月=27万6000円が課税所得から引かれるので、172万4000円が課税所得になります。そうすると、住民税と所得税合わせた年間課税金額は172万4000円の10%×2=34万4800円になります。

 つまり、iDeCoを使った場合は年間で差額の5万5200円、税金が戻ってくる計算になります。30歳から60歳までの30年間積み立てを続けると、165万6000円もの税金が戻ってくることになります。これは生保の個人年金保険とは比べ物にならないくらい大きな控除額です。税金の面で見ても、iDeCoは最強の積み立て方法と言っていいでしょう。

著者紹介

大江英樹(おおえ・ひでき)

経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングに従事。定年後の2012年にオフィス・リベルタス設立。現在、年間140を超える講演、月12本の連載を抱え、多忙な日々を過ごす。著書に『定年男子 定年女子』(日経BP社・共著)など多数。

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