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「心配で休めない」がなくなる!タイムマネジメント術

2018年01月04日 公開
2023年03月23日 更新

水口和彦(ビズアーク社長)

すべてのタスクを「実行日」に振り分ける

タスク管理のポイントは、事前にタスクの実行日を決め、その日に振り分けることです。

タスク管理というと、TODOリストのようにタスクを書き出すことに意識が向きがちですが、書き出すだけでは、仕事の進捗や時間に対する仕事量がつかめないので、十分とは言えません。「この日にやる」と決め、その日の予定に組み込んではじめて、一日の仕事量として適切か、期日までにどれくらい余裕があるかを把握することができます。いざ休みを取るときも、「これなら明日休んでも大丈夫」と、安心して休むことができます。

中間管理職の場合、自分の仕事だけでなく、部下に任せた仕事の進捗管理も仕事のうちです。部下へ進捗確認についても、あらかじめ確認日を決め、タスクとしてその日の予定に組み込んでおくとよいでしょう。

部下への進捗確認は、タイミングが大事です。よくあるのは、期限が近づいた頃に「あと2日だけど大丈夫か?」と確認するやり方です。これはあまりお勧めしません。なぜなら、こう質問された部下は、多少状況が悪くても、あと2日で挽回する前提で「大丈夫です」と憶測で答えるものだからです。

正しい進捗確認は、スタート日に確認することです。仕事の遅れは、スタートの遅れが原因であることがほとんどです。あらかじめ仕事のスタート日を部下と合意しておき、その日のスケジュールに「〇〇さんの仕事のスタート確認」と書き込んでおけば、その日に忘れずに確認できます。もし、予定どおりスタートできていなければ、その事実をもとに具体的な対策を指導できるメリットもあります。

このように、確認する日を決めておけば、「任せたあの仕事は大丈夫だろうか」といつも心配する必要はありません。

 

仕事の「属人化」が休めない職場を生む!

 使える時間に対してタスクが多すぎる場合は、不要なタスクを可能な限り減らしていくと同時に、部下に任せていくことも必要です。部下に任せることで、「自分がいないと仕事がまわらない」状況を減らしていくことにもつながります。

部下に仕事を任せられない理由として、「自分がやったほうが早い」「自分がやらないと間に合わない」という声をよく聞きます。確かにそうなのですが、そうであれば、早めに取り掛かってはどうでしょう。早めに取り掛かれば、教えながら進めていくことも不可能ではありません。

その人にしかできない仕事が多い、つまり仕事が属人化するほど、休みにくい職場になります。部下に仕事を任せるだけでなく、チーム内で仕事のやり方を共有し、誰もができる仕事を増やしていくことも大切です。

タスクに使える時間は、ポジションが上がるにつれて減る傾向にあります。なぜなら、アポイントメントや予定外の仕事が増えていくからです。ただし、この二つの仕事ももしかすると減らせるのではないか、という視点は持っておくとよいでしょう。

たとえば、部下からの相談に応じるのは上司の役目ですが、部下がいちいち上司にお伺いを立てないと仕事を進められない状況はよくありません。どこまでなら部下の判断で進めて問題ないかを教えていくことで、改善していくことができます。

教え方としては、部下から報告を受けたときに、自分で判断すべきかどうかの線引きを個別に示していくのがよいでしょう。報告を受けて問題がなければ、「これについては今後、あなたが判断して進めてください。報告は事後で構いません」「これについては事前に相談してください」と伝えます。手間のかかる作業ですが、長い目で見れば、部下の裁量で進められる仕事を増やしていくのに役立ちます。

いかに自分と部下の仕事をタイムマネジメントするか。これが、中間管理職が心置きなく休みを取るためのコツです。

 

《『THE21』2017年12月号より》

著者紹介

水口和彦(みずぐち・かずひこ)

〔有〕ビズアーク代表取締役社長

1967年、石川県金沢市生まれ。大阪大学大学院修士課程修了。日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。日本に数少ない「時間管理専門講師」。住友電気工業のエンジニア時代、時間管理を研究して残業を大幅に削減。その経験を活かし2006年に独立。一部上場企業から中小企業、官公庁、地方自治体まで幅広い組織において時間管理の研修や指導を行っている。著書に、『部下を持つ人の時間術』(実務教育出版)などがある。

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