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結果を出す人はみな「休息の技術」を持っている!

2017年12月26日 公開
2022年12月01日 更新

吉越浩一郎(元トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長)

「休める職場作り」がリーダーの役目

この状態に陥ってしまった人に必要なのは、「仕事の仕方」を根本的に見直すことだ。

「金曜日の夜の時点で、体力に余力を残すことを目標にしてください。つまり、平日に疲れを蓄積させないことが鍵なのです」

そのための方策は、吉越氏がトップとして社員に指導した方法と一致する。残業ゼロ、朝時間の有効活用、そして、すべてのタスクにデッドラインを設定して時間内に終わらせるべく、集中することだ。

「ここはリーダーの責任が問われる場面でもあります。『帰りづらい雰囲気』を作っていたり、明らかに疲労の見える部下を見すごしたりするのはもってのほかです」

まずは自分の身の周りから、「休める職場」を作っていくことを勧める吉越氏。

「部下に指示する際には明確に期限を設定し、わき目もふらずに仕事をさせる。そして定時の業務終了を徹底する。こうしてさっさと仕事を済ませ、夜や週末はリラックスやリフレッシュに使うことを勧めます。
これを徹底すれば、自身とチームメンバーの心身を整え、仕事の成果をますます磨き上げることにつながるでしょう」

 

妻との「本生」を楽しむべく、現在も休暇を満喫する吉越氏。吉越氏は、ちまたで「余生」と言われる60代以降の人生を「本当の人生」という意味で「本生」と呼んでいる。「ほんせい」と読みそうになるが、語呂がいいので「ほんなま」。「いくつになっても艶めかしく!」というメッセージもこもっているという(笑)。写真は妻と友人らとともに、フランスでのショット。

 

「笑い」は最高の休息である
社長在任中、タスクのすべてにタイトな期限を設けて厳守させていた吉越氏。その厳しさはつとに有名だが、その一方で対照的な一面も。
「テレビの取材を受けた際には、社長の私が頭にパンツをかぶりました(笑)。社員と話すときはジョーク連発、ランチに誘っては面白い話をしていました」
これは、仕事の合間に「笑い」というつかの間の休息を取ってもらうためだった。
「人は笑うと気持ちが切り替わります。どんなに大変でも、笑うとまたやる気が出る。ついでに、笑わせることで『社長、厳しすぎるぞ』という不満も消えてくれれば万々歳!」
──と、ここでも冗談が飛び出す吉越氏だが、この緩急こそが結果を出すリーダーの秘訣だ。
「仕事に必要なのは、厳しさと明るさ。その双方を醸成することが大事なのです」

 

《『THE21』2017年12月号より》

著者紹介

吉越浩一郎(よしこし・こういちろう)

トリンプ・インターナショナル・ジャパン元社長

1947年、千葉県生まれ。上智大学卒業後、極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパンなどを経て、83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社。92年にトリンプ・インターナショナル・ジャパン代表取締役社長に就任し、在任中、19期連続増収増益を達成。2004年には「平成の名経営者100人」(日本経済新聞社)に選出された。06年の退任後は経営コンサルティング、講演等を中心に活躍。著書『結果を出すリーダーの条件』『社長の掟』(以上、PHPビジネス新書)ほか多数。

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