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怠惰さを「1ミリ」変えれば、勉強は続く

2018年01月15日 公開
2023年03月23日 更新

坪田信貴(坪田塾塾長/「ビリギャル」著者)

「アフォーダンス」で面倒さをコントロール!

 つまり、勉強を継続するには、遠くのステーキを「近く」にする一方、近くの牛丼を「遠くに」追いやる必要があります。ここで鍵となるのは「アフォーダンス」という認知心理学の用語。人をある行為に誘導する環境を意味します。

 たとえば目の前にテレビがあり、手元にリモコンがあるとします。すると、そのリモコンは「このテレビをつけるための道具だ」と認識することでしょう。

 さて、そう思ったあなたは、次にどうしたくなりますか? 当然、勉強を放り出し、テレビをつけたくなるはず。これがアフォーダンスです。このとき、テレビはまさに「近くの牛丼」。これが目の前にあっては、いつまでたっても「遠くのステーキ」に目を向けることができません。

 こうした「ダメなアフォーダンス」を一つひとつシャットアウトしましょう。リビングの正面にテレビがあり、その向かいにソファ、すぐ手の届くところにリモコンが置いてあるなら、リモコンを戸棚に入れる、テレビを壁に向ける、ソファの居心地を悪くするなど……。

 同じく、「勉強の途中ですぐ漫画を読んでしまう」人なら、本棚から全部漫画を取り出して段ボールに詰め込んで押し入れへ。誘惑の元を、すべて「遠くのステーキ」にしましょう。

 逆に、勉強に関わるものにはアフォーダンスをたくさん仕掛けること。筆記用具やテキストは、手を伸ばせばすぐに取れるところに置くのが基本です。

 なお、「テレビ完全禁止はさすがに辛い」という人は、「テレビのそばに、暗記したいことをマジックで書いた紙を貼る」という方法がお勧めです。少し視線を移したところに覚えるべきことが書いてあれば、合間にすぐ勉強できます。その際、「CMのたびに声を出して読む」などのルールを作ればさらにベター。

 勉強の面倒くささをミニマムにするこの方法はほかにも、「トイレ」「キッチン」「ベッドの上の天井」など、あらゆる場所で活用できます。ぜひ、家の中を貼り紙だらけにしてみてください。

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著者紹介

坪田信貴(つぼた・のぶたか)

学習塾「坪田塾」塾長

心理学を駆使した学習法により、1,300人以上の子供を個別指導し、多くの生徒の偏差値を短期間で急上昇させた実績を持つ。2013年、著書『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA)が大ヒット。その後も受験指導のみならず、企業の人材教育や起業アイデアの指導、講演活動等多角的に活躍中。

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