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資産10億円、何もしないと3代で10分の1?

2017年12月27日 公開
2023年03月23日 更新

江幡吉昭(アレース・ファミリーオフィス代表)

土地を守るのではなく、資産を継承していく

地主や都市農家のみなさんはどうしても、いま所有している土地を守ることに意識が向きがちです。年配の方々は特にそうです。

そのためつい「土地活用」といった宣伝文句に魅かれ、駅から15分以上も離れたような立地にアパートを建ててしまったりします。

もちろん、一族として象徴的な土地はきちんと守るべきですが、すべての土地をそのまま維持しようというのは無理があります。

相続税の評価額は高いけれど実際の価値は低いような土地、使いにくいような土地は早めに処分し、収益を生む資産に組み替えていくことを考えるべきです。

一族の将来のため大切なのは、個々の土地を守ることではなく、まとまった資産を継承していくことです。

土地を守るのではなく資産を受け継いでいくということは、「地主一族」から「経営者一族」へ進化するということです。

土地をたくさん持っているだけの地主や都市農家は今後、消えていく運命にあるでしょう。土地そのものに価値があるのではなく、その土地からどのように収益を生むか、あるいは土地を収益資産にどう変えるかが問われています。

資産を所有する形態もポイントです。一般に、個人が多くの資産を所有すると様々なリスクが高まります。そこで、同族会社(ファミリーカンパニー)を設立し、その会社の株を持つほうが、相続対策の上でも選択肢が広がり、柔軟性が高まります。

地主や都市農家の後継者世代のみなさんにとって、「経営」という観点を持つことが、これからの時代には不可欠です。

著者紹介

江幡吉昭(えばた・よしあき)

アレース・ファミリーオフィス代表取締役

1999年大学卒業後、住友生命保険を経て、英スタンダードチャータード銀行に入行。最年少シニアマネージャーとして活躍後、平成21年、資産家の税務・法務・財務・資産運用の問題解決を図る専門家集団を束ねるファミリーオフィスを設立。主に相続・事業承継等の問題を顧客側の視点で解決する。現在、株式会社アレース・ファミリーオフィス代表取締役。アレースグループ代表。また相続の現場を通して「争族」を多数経験したことで、相続争いを回避するため一般社団法人 相続終活専門士協会を設立。一般社団法人 相続終活専門士協会代表理事。著書に『広い土地を引き継ぐ人のための得する相続』(アスコム刊)。

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