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ストレス対策は「心」よりも「身体」から

2018年04月05日 公開

小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

「ポジティブに考える」より身体を動かせ!

持続的なストレスで倦怠感や無気力感が強くなったときは、交感神経と副交感神経の両方が鈍くなっています。ここでは、交感神経を刺激するのが良い方法。身体を動かすために、あえて人と会う約束をしましょう。出かける、会話をする、といった行動によって交感神経が上がります。ただし、会うなら元気な人にしましょう。ネガティブな人が相手だと、ますます暗い気持ちになるので要注意です。

デスク周りを片づけるのもお勧めです。モノを整理整頓すると、心も整理されます。「1日20分」などと決めて毎日行なう習慣をつければ、身の回りは常時スッキリ。片づけるという作業と、それで得られる快適な環境、双方が自律神経のバランスを整えてくれます。

さて、以上の話はいずれも「身体」へのアプローチであることに気づかれたでしょうか。

「心」へのアプローチ、たとえば「ポジティブに考える」などの対処はあまりお勧めしません。人間の思考や感情は、実はコントロールが難しい領域です。性格上なかなかポジティブになれない人もいますし、そもそも自律神経が乱れてしまえば、思考も乱れてしまうものです。あれこれ考えを巡らせるより、身体を動かして自律神経を整えたほうが近道です。

 

「書き出す」ことで気持ちが軽くなる

その中で唯一、「考える」アプローチとして有効なのは、書き出すことです。

前述のとおり、多くの人はストレスの原因を明らかにしないまま苦痛を増大させています。次ページのワークは、このモヤモヤをひもといて、整理する作業です。心の中で真っ黒に膨らんでいた塊が、実は対処可能だったことに気付くでしょう。

ときには、対処の難しいストレスもあります。パワハラ上司や悪意に満ちた同僚など、人間関係にまつわるストレスはその典型。「他者」という自力で変えられない要素が絡むため、解決策も見つかりづらいのです。

あまりに深刻な場合は異動や転職をして「逃げる」のが一番ですが、それができないなら、ここも「書き出す」対処法を。

1日の最後に、
(1)今日、一番イヤだったこと
(2)今日一番嬉しかったこと
(3)明日の目標
の3点をそれぞれ1行でまとめる3行日記をつけましょう。

最初につらかったことを吐き出し、次に良い事を書いて気持ちを切り替え、最後に目標を書いて未来に目を向ける。シンプルですが、気持ちを整える効果は絶大です。

「5年日記」など、長いスパンでつけられる日記帳を使うとより効果が高まります。この形式の日記なら、1年前と状況が変わっている、といった気づきも得られます。どんなにつらいことも永遠には続かない、という認識によって、前向きな気持ちが芽生えてくるでしょう。

 

ストレス対策、やりがちなNG行動

ストレス対策によかれと思ってやっていることが、逆にストレスになっている場合もある。やってしまいがちなNG行動をご紹介。

×友達とおしゃべりしてうっぷんを晴らす
愚痴や不満で不快な気分になると交感神経が高まり、ストレスの原因になることも。

×とにかくたくさん寝る
寝ること時代は良いが、寝すぎはNG。体内リズムが狂うと自律神経にも影響あり。

×お皿を割ったり、ものに八つ当たりする
怒りは自律神経を乱し、逆にストレスがかかる。交感神経が急激に高まることも

×熱いお湯で長風呂をする
お風呂そのものは効果的だが、温度に注意。42℃以上のお風呂に長く入ると血流が悪くなる。

×買い物をする
ストレスからの買い物は脳から快感ホルモンのドーパミンが分泌され、依存傾向に陥る可能性あり。

×ネットやスマホのゲームに没頭
長時間、目を酷使することになり、疲れから自律神経の乱れにつながる。

 

《『THE21』2018年3月号より》

著者紹介

小林弘幸(こばやし・ひろゆき)

順天堂大学医学部教授

1960年、埼玉県生まれ。92年、順天堂大学大学院医学研究科博士課程を修了後、ロンドン大学附属英国王立小児病院外科などの勤務を経て帰国。順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任後、現職。自律神経研究の第一人者としてアスリートや芸能人のアドバイザーを務めるほか、TV出演などメディアでも活躍中。著書に、『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)、『一流の人をつくる整える習慣』(KADOKAWA)など多数。

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