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急増する「シニア社員」問題への処方箋

2018年01月31日 公開
2018年01月31日 更新

見波利幸(シニア産業カウンセラー)

 

お荷物社員にならない二つの方法

 そのキーワードは、「専門性」と「マネジメント」。

一つ目の専門性は、機械がどんなに発達しても必ず残る、人間ならではの発想力や企画力、実行力です。営業・製品開発・企画・研究など分野を問わず、人間のできる部分は必ず残るものです。自分の得意分野や専門分野に関する知識をさらに深め、極めていくことが重要です。

 二つ目の「マネジメント」は、いわゆる「管理職」とはまったく別物です。売上げ管理・時間管理・安全管理などの「管理」の仕事は、ほどなく機械に任されます。現在、上司として携わる仕事のほとんどは、20年後にはなくなるでしょう。

 その中で、一つだけ残るのが「育成」です。人を育てる仕事は機械にはできません。情報を教えることはできても、人間性を育んだり、心の触れ合いの中で気づきを促すといったことは不可能です。ヒューマンスキルを極め、人を育てるエキスパートとなることで、機械に取って代わられる心配はなくなります。

 40代は自分の適性を見極めて、このどちらかを目指すべき。今から努力すれば、20年後の人生が大きく変わります。ここを目指した人と、漫然と過ごしてしまった人で、20年後は「二極化」現象が起こるでしょう。

 機械に置き換えられない価値を身につけた人は、どの組織でも居場所があり、好待遇で迎えられます。しかし、その価値を持たない人は、機械に使われるだけの辛い毎日。6タイプのうちの「嘆き」「おんぶに抱っこ」「ご隠居」などの人々が持つ消極的なメンタリティを、より色濃く抱える後半生になってしまうかもしれません。

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著者紹介

見波 利幸(みなみ・としゆき)

〔一社〕日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事

1961年生まれ。大学卒業後、外資系コンピュータメーカーなどを経て、98年野村総合研究所に入社。メンタルヘルスの黎明期より管理職向け1日研修を提唱するなど、日本のメンタルヘルス研修の草分け的存在。現在はエディフィストラーニング㈱(キヤノングループ)の主席研究員として、研修や講演、カウンセリングや職場復帰支援を行なう。著書に、『劣化するシニア社員』(日経プレミアシリーズ)など。

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