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界 箱根の「寄木細工」

2018年02月01日 公開

<連載>続・星野リゾートの現場力(5)

知れば知るほど、働くモチベーションになる

ゲストの滞在中に寄木細工を体感する機会を増やすことは、藤野さんが最も意識していることである。実際に使ってもらうことが、魅力を感じるには一番だ。寄木CHAYAで器として使用するほか、夕食の懐石料理では、市松模様でデザインされた寄木細工の器に盛りつけられた「お造り」を出している。また、日本酒を注文したゲストに対しても、寄木細工の酒器に注いだ日本酒に金箔を浮かべるという趣向を凝らす場面もある。藤野さんが懐石料理のサービスを担当するときは、「これは箱根の伝統工芸なんですよ」と直接ゲストに説明している。

「寄木細工の器でお料理やお酒を出すと、お客様の反応がまったく違います。お客様は旅行に洗練された滞在や時間を求めていて、その場所でしか味わえないものや、その場所に特有な体験を滞在に取り入れていきたいニーズが高いと感じます」

最近は、界 箱根で働く他のスタッフにも「寄木細工のことをもっと知ろう」と働きかけている。もちろん、寄木細工をテーマにした旅館で働くスタッフとして、皆ある程度の知識は持っているが、「もっと深く知れば知るほど、自分たちの働くモチベーションにつながる」と藤野さんは考えるからだ。また、界 箱根が開業した2012年当時に比べて、寄木細工をテーマにした施設が近隣に増えている現状もある。乱立する競合を相手に生き残るには、寄木細工の魅力の伝え手としての表現力を高め、ゲストの滞在価値を高めていくことが重要である。

「私たちが寄木細工のことをもっと知り、お客様にお伝えする情報の密度が増せば、お客様が喜んでくださる。それが自分たちのモチベーションを高め、またお客様から選ばれる旅館になるための手段になると思います」と藤野さん。ご当地楽の活動を通して知った寄木細工に関する知識をスタッフと積極的に共有するようになってから、寄木細工に対するスタッフの関心が以前よりも高まっているのを感じるという。

元々、宿屋を営む家に育ち、旅行が好きだという藤野さん。学生時代にはよく旅に出かけた。「新しい土地でその土地の魅力に触れることで、自分の価値観が更新される感覚はとても刺激的なもの」と旅の魅力を語る。星野リゾートに中途入社を決めたのも、「全国各地に施設を展開しているので、いろんな土地を旅する感覚で働けそうだと思ったから」だという。

その土地の魅力を深堀りして発信する今の仕事は、自分の生き方に近いのかもしれないと藤野さんは感じている。今は箱根に住み、箱根の自然や人、伝統文化に触れることで自分の世界が広がる感覚を楽しんでいる。その楽しさを界 箱根のゲストにも味わってもらいたい――。そうした思いを胸に、界 箱根のご当地楽をより魅力的にすべく取り組んでいる。



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