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好きなことをして「脳のアンチエイジング」を

2018年03月26日 公開
2023年03月23日 更新

茂木健一郎(脳科学者)

「人に見せる」ことで脳が活性化する

 ここで大事になるのが、得た知識をそのままにせず、新たな視点でアプローチすることだ。

「たとえば前述のジャコウネコのコーヒーをさらに調べてみると、象の糞から取り出したコーヒー豆もあることがわかる。すると、『あの動物にコーヒー豆を食べさせたらどうなるか』といったアイデアが出てきます。

 このように、自らの趣味について突き詰めて調べていくうちに、『この問題をこういう切り口からアプローチしたら面白いのでは』という今までなかったテーマにたどりつくことがあります。これがまさにブルーオーシャン力です」

 アクティブラーニングの効果を最大化するために茂木氏がお勧めするのが、「資料にして人に見せる」ことだ。

「私は新しい知識を調べているとき、得た内容をパワーポイントにまとめ、人に見せることがあります。知人や友人はもちろん、仕事上の関係者にも見せ、意見を求めるのです。

 見せた人が喜んでくれれば脳内にはドーパミンが分泌され、思考回路がますます強化されます。逆に反応がイマイチだったとしたら、それはまだ自分の思考力が足りないということ。『調べ、発見し、まとめる』の繰り返しによって、考える力を鍛えていきましょう」

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好きなことへの没入は最高のアンチエージング >

著者紹介

茂木健一郎(もぎけんいちろう)

脳科学者

脳科学者。ソニーコンピューターサイエンス研究所シニアリサーチャー、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別研究教授。
1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。
主な著者に『脳とクオリア』(日経サイエンス社)、『脳内現象』(NHKブックス)、『脳と仮想』(新潮社)、『「脳」整理法』(ちくま新書)、『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)、『脳と創造性』『脳が変わる生き方』(以上、PHPエディターズ・グループ)などがある。

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