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40代にとって他人事じゃない「三江線廃止」

2018年03月10日 公開

THE21編集部

黙々と走り続けた三江線へのシンパシー


「天空の駅」として知られる宇都井駅。1975年全線開業時に誕生した「同級生」だ。

2000年代に入ると、実感はなくとも株価が回復し、世間的には経済が右肩上がりと言われるようになった。この世代は20代後半から30代の「中堅」と呼ばれる層に入ったが、企業が採用を絞ったこともあり、部下はなかなか増えなかった。来る日も来る日も現場仕事。さらに2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災が追い打ちをかける。この当時、疲弊して体調を崩す人、会社を去る人も多かった。

その間、三江線もまた山間の複雑に湾曲する路線を来る日も来る日も同じように、黙々と走り続けてきた。

三江線に乗ってみると、そのカーブの多さ、複雑さに驚かされる。三次から乗っても江津から乗っても、すぐに列車は街を離れ、大自然の中に飲みこまれる。川を渡り、山を潜り抜け、そしてまた川を渡る。雄大なる江の川沿いのわずかな平地を走る車両を傍からみると、そのちっぽけさと健気さについ心を打たれてしまう。

そして、そんな疲労が蓄積して溢れ出したかのように、2006年の豪雨による土砂崩れで、三江線は全線復旧まで約1年間の長期休暇を迫られる。

 

合理化の波も同時に!?


江津本町駅を出た三江線は、すぐに雄大な自然の中に吸い込まれていく。

2010年代に入っても、この世代の仕事の状況は一向によくなる気配はなかった。部下はやっぱり増えずに仕事だけが増えていく。マネージャーとは名ばかりで、プレイヤーとしての結果ばかりが求められる。先を見ると、役職者のポストに空きはなく、年金不安がこれだけ叫ばれてはお金を使おうという気も起きない。この年代にとって明るい話題はほとんど聞かれない。

そして合理化の波がいやおうなく襲ってくる。世の中は人手不足と言われるが、一方で大企業によるリストラ計画も相次いで発表されている。AI化により「仕事がなくなる」と言われるが、その影響を一番受けるのは40代だ、などという記事も多い(弊誌でも何度も取り上げている)。

一方の三江線にも合理化の波が迫ってくる。何度も出ては消えていた廃線の話が現実味を帯びてくる。2013年には再びの長期休養(運休)。最後の希望だった増便実験の成果もはかばかしくなく、ついに2016年、廃線が発表された。

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そして満員となった三江線 >



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