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情報は「8割捨てる」を原則に!

2018年05月24日 公開
2023年03月16日 更新

理央周(コンサルタント/マーケティングアイズ代表取締役)

「名著」を読んでおけば情報収集はラクになる!?

ではどうすれば、必要・不要な情報を見分けるフィルターを持てるでしょうか。新聞を読んだりネットを見たりしていると、面白い情報が多数見つかりますが、全部チェックするのではムダだらけになります。

まず大切なのは、情報を収集する時に、「最終的なアウトプットを強く意識すること」です。私の場合は、まず見出しを見て「すぐに仕事に役立ちそう」「中長期的に仕事に役立ちそう」な記事だけを選んでいます。そうすれば、不要な情報を短時間で選別できます。

たとえば営業マンなら「お客さんに提供する情報になるか」「業界の動向として知っておくべきか」など、一歩引いて情報を見て、ストックすべき情報かどうかを考えてみましょう。

また、情報収集をする前に、アウトプットをしなければならないテーマに関する基本的な知識を身につけることも重要です。基本知識がないと、その情報が正しいのか間違っているのか、当たり前なのか珍しいのかがわからず、必要・不要の判断がくだせません。

たとえば、マーケティングの世界でいえば、マーケティングの大家といわれる、フィリップ・コトラーなどが書いた基本書をしっかり読み重要な点をしっかり理解していれば、ネットなどに書かれたマーケティングに関する情報が自分に必要かどうかが、すぐにわかります。しかし、基礎知識がないと、すべて鵜呑みにして、ストックしていくことになりかねません。

 

一度寝かせることでフィルターが働くように

必要な基礎知識はアウトプットの内容によって異なりますが、ビジネスマンの場合は、「業界の知識」は必須でしょう。当たり前のようですが、それが不十分な人は意外と多いと感じます。情報収集をする前に、基本を学べる文献を読んでおきましょう。

基本知識を学ぶときは、さまざまな著者の本を何冊か読むと、多面的な知識がつき、理解が深まります。仕事の合間に読むとなると、一度に学べるテーマは一つが限界です。基礎をしっかり固める時は、他の情報収集をやめて、一つに集中しても良いぐらいです。

はじめのうちは、目の前の情報が必要か不要か、瞬時に判断がつかないかもしれません。

そんな人にお勧めなのは、「2段階でチェックすること」です。

私は、「役立ちそう」という観点で新聞や雑誌の記事を選んでいることはすでに述べましたが、実はその場ですぐに読んでいません。その記事の部分だけを破って、常に携帯しているクリアファイルに入れています。そして、移動中などの時間があるときに取り出して、改めて読んでいるのです。

この方法の長所は、すぐに読まずに、一度寝かせることで、フィルターが働きやすくなることです。「最初に記事を見た時は重要に見えたのに、あとから見ると、そうでもない」と思うことは少なくありません。

また、スキマ時間を使って記事のチェックをすることで、時間を有効活用できることも、大きなメリットです。この方法にしてから、私は1日でいくつもの新聞や雑誌を読めるようになりました。

ネットの記事に関しても、すぐに読まずに、いったん時間を置いてから読むと、冷静に必要かどうかを判断できるはずです。このような手順を踏むと、本当に必要な情報だけが残ります。 

 

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情報はなるべく多く、でもストックは最低限に >

著者紹介

理央周(りおう・めぐる)

マーケティングアイズ〔株〕代表取締役

本名、児玉洋典。1962年生まれ。静岡大学人文学部経済学科卒業。大手自動車部品メーカー、フィリップモリスなどを経て、米国インディアナ大学にてMBA取得。アマゾン、マスターカードなどでマーケティング・マネジャーを歴任。2010年に起業し翌年法人化。13年から17年まで、関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科で准教授として教鞭をとる。『8割捨てる!情報術』(日本経済新聞出版社)など、著書多数。

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