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中学入試に英語が急増している背景とは?

2018年03月22日 公開
2018年03月22日 更新

三石郷史(キャタル代表取締役社長)

小学生の英語学習、3つのポイント

首都圏では6人に1人が中学受験をすると言われているが、近年、その中学入試の教科に英語を導入する私立中学校が急増している。この理由や背景について、また中学受験にむけた英語学習の「3つのポイント」について、英語塾キャタル代表の三石郷史氏に教えてもらった。

 

この5年で急増した英語での中学入試

具体的な数字を挙げると、中学入試に英語を導入した首都圏の私立中学校は、2014年はわずか13校でしたが、15年に31校、16年に62校と倍増を続け、17年には93校、そして18年には109校と、5年間で約8倍になっています。これは首都圏の私立中学の約3割を占めるボリュームです。

他に、入試の教科としては英語を入れなくても、英検を持っている人は級により加点します、という品川女子学院などのような学校もありますから、中学受験で英語を重視する動きは今後もまだ増え続けるでしょう。

 

学校は英語ができる生徒を先取りしたい

この背景にあるのは、少子化です。ほとんどの私立の学校は生徒集めに困っています。しかもこの傾向は、誰でも名前を知っているようなブランド力のある学校でも同様です。

一方で、しっかりと時間をかけて改革ができた学校もあります。これらの成功した学校に共通しているのは「国際化」と「共学化」です。

渋谷教育学園渋谷中学高等学校はその良い例で、30年ほど前までは女子校で、偏差値は高くありませんでした。渋谷教育学園になって共学化し、国際化を進めました。今では姉妹校の渋谷教育学園幕張中学高等学校とともに進学校としてのイメージを確立し、17年の入試では両校合わせ100名以上が東大に合格しています。

このように「英語に強い生徒は受験に強い」という成功例があるので、各学校は「グローバルな人材を育成する英語重視の教育をしています」という実績を作り、英語ができる人たちを早くに囲い込みたい、という共通の思惑があります。また、英語力で合格を掴み取れるような生徒を輩出することにより上位大学への進学率が上がれば、さらに評価が上がって生徒を集めやすくなります。だから、多くの私立の学校は、英語ができる人材を早くから求めているのです。

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「上位校」も動き出している >

著者紹介

三石郷史(みついし・さとし)

株式会社キャタル代表取締役社長

慶應義塾大学卒業後、メリルリンチ証券に入社。英語に苦労した経験から、「次世代に同じ思いをさせないで学べる場所を作ろう」と「小中高生をバイリンガルにする英語塾キャタル」を創立。海外経験なしの小学校5年生が英検1級に合格、慶應義塾ニューヨーク学院など、400人以上の留学を後押し、IVY LEAGUEの進学者輩出、といった実績が評判を呼んでいる。
現在、教育に携わるゲストを招く教育ラジオ番組『In the Dreaming Class』のパーソナリティを務める。

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