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ビジネス書ベストセラーで振り返る「平成」

2018年05月05日 公開
2022年11月10日 更新

『THE21』編集部

ビジネス書はよりライトに、多様に

それ以降はいわゆる「ライト」なビジネス書が増えてくる。その走りとも言えるのが、2006年、2007年のベストセラー『「1日30分」を続けなさい!』(古市幸雄著、マガジンハウス)、『鏡の法則』(野口嘉則著、総合法令出版)など。そして、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海、ダイヤモンド社)、『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵、サンマーク出版)につながっていく。

こうした書籍に対しては、従来からのコアなビジネス書ファンからは「これがビジネス書と言えるのか?」という声も上がったが、新たな読者層を開拓したのは紛れもない事実。とくに、これらの書籍は女性人気も高く、女性の社会進出にともない、女性のビジネス書読者を取り込んだことがベストセラーの一因となった。
 

この10年は「コミュニケーション本ブーム」?

2010年代に入ると、コミュニケーションに関するベストセラーが増えてくるのも特徴だ。『誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方66のルール』(野口敏著、すばる舎)は、ド直球なタイトルで話題となった。また、発刊こそ2007年だが、2010年のベストセラーランキングにも入っている『伝える力』(池上彰著、PHPビジネス新書)を始め、『伝え方が9割』(佐々木圭一著、ダイヤモンド社)、『超一流の雑談力』(安田正著、文響社)など、コミュニケーション関係のベストセラーが相次いだ。2011年の東日本大震災も、この流れを後押ししたかもしれない。

教師と生徒との対話形式によるユニークな構成で人気を博した『嫌われる勇気』(岸見一郎、 古賀史健著、ダイヤモンド社)もまた、こうしたコミュニケーションに悩む人に支持された1冊だ。

ちなみに2017年のビジネス書1位は、『はじめての人のための3000円投資生活』(横山光昭、アスコム)。2000年代の「稼ぐ」とは趣旨が大きく異なっていることに気づかされる。

最近では健康や休息など、ビジネス書が扱うテーマも多様化が進んでいる。ときには書店店頭に並ぶビジネス書を眺めて、今の時代のトレンドやこれからの働き方を予測してみるのもいいのではないだろうか。

(『THE21』2018年3月号記事を大幅修正)

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