THE21 » トピックス » 苦労のわりに報われない?あこがれの職業「王様」(スワジランド)

苦労のわりに報われない?あこがれの職業「王様」(スワジランド)

2018年05月08日 公開
2018年05月08日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(33)石澤義裕(デザイナー)

毎年、国中の若い女性が集まる「奇祭」って?

「王様になったら、ナニをしたい?」

「一夫多妻!」

「毎年、美人と結婚!」

夫婦生活のなんたるかを知らない高校生が言いそうなことですが、これを実践しているのが、残念な王様ムスワティ3世。

彼は「毎年」、お嫁さん探しの祭りを開催します。

全国から数万人の処女が集まり、トップレスになって踊る世界一セクシーな奇祭です。

見事、王様に見染められたら、文字通り玉の輿。玉座へ。

お妃として迎えられ、運転手付きの高級自動車と宮殿をいただけます。

国民の証言によると、すでに妻16人。

先代の奥さん70人には「まだまだ」努力が足りないのかもしれませんが、国中の処女の胸を眺めて妻を娶る習わしは、西欧諸国から大いにひんしゅくを買っています。

 

最高級車、自家用ジェット……揺らぎまくる公私の境目


子ども7人のお父さん。学費は王様が払ってくれると感謝していました。

「王さまになったら、ナニを買いたい?」

とりあえず、豪邸。

ムスワティ3世は、世界のお金持ち王様ランキングで17位。資産は1億ドル。

お妃の数だけ宮殿を建てるとなると足りないのではないかと心配したら、国家予算の2.5%が王族のもの。およそ25億円。大きなお世話でした。

次に、車。

王様の御用達は、手作り高級車として有名なマイバッハ。お買い求めになった車種はわかりませんが、たぶん最高級ラグジュアリーカー。となると、億ションが8つ買えるお値段かと推定いたします。

そして、自家用ジェット機。

37億円なり。

議会の反対を押し切って買ったので税金かもしれませんが、なんにしろ王様に公私の区別は無粋です。

次のページ
そして突然の「改名」宣言 >

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

THE21 購入

2024年5月号

THE21 2024年5月号

発売日:2024年04月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

正直に嘘をつく天空の国の人々(レソト)

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(32)石澤義裕(デザイナー)

「欧米の香り」と「修羅の国」が隣り合わせ!?(南アフリカ)

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(30)石澤義裕(デザイナー)

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち

石澤義裕(デザイナー)
×