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苦労のわりに報われない?あこがれの職業「王様」(スワジランド)

2018年05月08日 公開
2018年05月08日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(33)石澤義裕(デザイナー)

そして突然の「改名」宣言

それだけ自由にお金が使えたら、もはやどんなプレゼントを貰ってもうれしくない誕生会。無駄に盛大です。

10年前のお誕生会の予算は、国の独立40周年との合わせ技で250万ドル。噂ではその5倍は使ったというから、12億円以上!

その当時、日本の総理大臣はライオン頭。彼から無償資金協力として1億円が贈られていますが、はたして覚えているものか、心配です。

つい先日、2018年度のお誕生会が開催され、ご本人から直々のサプライズがありました。

予告なき国名変更です。

知る人の少ないスワジランドという無名の国名を捨て、これからはエスワティニと名乗ります。

ますます、知る人が少なくなりました。

 

自分で作った法律にはちゃんと従う素直な王様

思い起こせば、子どものころに憧れていた職業「王様」は、基本的に無職。

1日中遊んでいると思っていたので、今で言うニートです。

ところがムスワティ3世は、働き者です。

Facebookのせいですぐに国民がデモるので、貧乏な国民よりも命がけで職務に励みます。

まず、親戚の中から首相を選んで、行政をコントロールします。

最高裁判所の長官は自分で選び、軍隊を掌握します。

議会に立法権を与えず、法律は自分で作ります。

政策を反対されないよう、野党を認めません。

証人喚問もないことでしょう。

他国の王様が聞いたら、羨ましくて亡命しにくるかもしれませんが、それは早計です。

スワジランドの王様は、自ら罰を受ける潔さがあります。

例えば、2001年に施行した「少女の性行為5年間の禁止」。

世界一のエイズ大国になってしまったための究極の法律ですが、王様、ついうっかり2ヶ月後に少女と結婚。

こいつは申し訳ないと罰金を払いました。

牛一頭ですけど。


カフェのマネージャーと娘さん。愛想のよいマネージャーですが、店員は無愛想です。教育が行き届いていません。

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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