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40代から考える「もめない相続」の準備とは?

2018年05月19日 公開
2023年03月16日 更新

笠原清明(税理士)

意外と知られていない一次相続の方法

また、意外と知られていないお勧めの方法があります。たとえば子供が2人いる夫婦の場合、夫が亡くなった後、まずは妻に財産を相続させ(一次相続)、妻が亡くなったら子供に(二次相続)というのが一般的なケースです。「配偶者の税額の軽減」により、配偶者への相続には1億6000万円まで税金がかからない、という特例があるからです。だからこそ多くの場合、「まずは配偶者へ相続を」と考えるわけです。

ただし、いずれもう一人の親が亡くなった際、結局は子供への相続が行なわれるわけです。ならば、夫が亡くなった際に「一次相続」として妻と二人の子供に同時に相続させる、という手があります。前述したように法定相続人が多いほど、基礎控除額は大きくなりますので、結果的に節税となるケースがあるのです。

一次相続

二次相続

また、被相続人が生命保険に入っておくのも有効な手段と言えるでしょう。相続時に必要となる現金が用意できるだけでなく、節税の効果もあります。全額ではありませんが、「500万円×法定相続人の人数」までは非課税となります。

40代、50代の方が今から準備をするというのはなかなか難しいかもしれません。ですが、とりあえずこういう制度があることを知っておくだけでも意味があると思います。

(取材・構成:西澤まどか
『THE21』2018年1月号より)

著者紹介

笠原清明(かさはら・きよあき)

税理士

1957年、埼玉県さいたま市に生まれる。79年、税理士試験に合格。80年、中央大学商学部会計学科卒業後、公認会計士長隆事務所に入所。84年、東京都新宿区で開業。現在、社団法人・ソフトウェア開発・小売・建設・上場子会社など、約100社の税務に関わる。著書に『知って得する相続 揉めて損する相続』(PHP文庫)など。

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