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【ミドル世代の転職の心得】いざというときのために備えておくべきことは?

2018年06月21日 公開
2023年03月14日 更新

出口治明(立命館アジア太平洋大学学長)

 

大きな転換期を迎えている日本

 出口氏は今年70歳を迎える。ただ、新たなことを始めるのに、年齢は関係ないと言う。

「朝起きて元気ならば仕事を続ければいい。疲れたと感じたらそこで辞めればいいのです。

 ちなみに僕は今まで入院したことがなく、今もいたって元気。若い頃と同じく体力があるのなら、働き続ければいい。至ってシンプルです」

 最近はだいぶ緩和されてきたとはいえ、人材登用時の判断材料として「年齢」を重視するのは、日本の悪しき風習だとも言う。

「僕がライフネット生命の取締役を退任したとき、後任として30代の役員を2人選びましたが、年齢はまったく考慮していません。過去のキャリア、今やっている仕事、本人の希望をもって、適任か否かを考えた結果であり、適任者であればもっと若い人でも、逆にもっと年齢が上の人でもいい。これは、欧米では“年齢フリー”の当たり前の考え方。日本でもこれからはこうした考え方が浸透するのではないでしょうか」

 この他にも日本は今、働き方において大きな転換期を迎えている。

「日本の産業の主軸が製造業からサービス業に移った今、求められるのは長時間労働に耐え得る体力ではなく、アイデアを出す力です。その力の源になるものは、『人・本・旅』です。

 40代を過ぎると自分の時間が取れなくなる人が多いと思いますが、ダラダラ残業を根絶して、なるべく自由時間を多く確保し、自分の人生のための学びや遊びを増やしましょう。趣味にいそしみ、多くの人や場所に触れましょう。

 もし、それができないのならば、自らが職場環境を変えていくか、働く場所を変えたほうがいい。こうして日本全体の働き方が変わっていけば、個人の人生のみならず、日本の社会にも大きな果実をもたらすでしょう」

≪『THE21』2018年6月号より≫
≪取材・構成:林 加愛、写真撮影:まるやゆういち≫

著者紹介

出口治明(でぐち・はるあき)

立命館アジア太平洋大学(APU) 学長

1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒業後、72年、日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当したのち、大蔵省を担当して金融制度改革に取り組む。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て06年に退職。同年、ライフネット企画〔株〕を設立し、代表取締役社長に就任。08年、免許取得に伴いライフネット生命保険〔株〕に社名を変更。13年、代表取締役会長。17年に取締役を退き、18年1月、立命館アジア太平洋大学(APU)学長に就任。

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