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40代が今、取るべき「資格」とは?

2018年07月18日 公開
2023年08月07日 更新

鈴木秀明(資格コンサルタント)

40代ビジネスマンにお勧めの資格

1 経営に関する資格

経営幹部層への出世を目指すなら必須のスキル。経営戦略論・組織論・マーケティング・経営分析など幅広い分野を学ぶため、役立ちそうなトピックを適宜ピックアップして実務に取り入れていく使い方が最適だ。興味がある分野や、実務に活かせる分野から学んでみては。

・中小企業診断士
経営学をはじめとして経済学・会計・法務・情報システムといった多くの科目をパスしなければならない難関の国家資格。企業経営の幅広い知識が身につき評価も高いため、数年かけてでも狙う価値あり。

・経営学検定
経営戦略・組織論など、経営学に関する総合的な知識が問われる。試験範囲の大部分が中小企業診断士と近い内容であるため、中小企業診断士資格取得へのステップに活用する手もある。

・リテールマーケティング(販売士)検定
小売業向けの資格だが、店舗運営・マーケティング・経営管理などマネジメント関連の内容を扱うため、経営を学ぶ手段として有用。商工会議所主催の検定なので、知名度や小売業界内での評価も高い。

 

2 会計に関する資格

企業の目的は利益を上げること。会計の知識を身につけ会社の現状や課題を読み解き、主体的に組織運営に携わるためには不可欠なスキルといえる。競合他社や取引先の財務状況を把握して戦略を練る、事業の採算性を見極めるなど、経理職以外の社員も使う場面は無数にある。

・日商簿記検定
商工会議所が主催。会計分野の代表格の資格で、知名度やネームバリューが高いので、取って損はない。どちらかというと経理職向けの内容なので、経理のスペシャリストを目指すわけでもなければ2級で十分事足りる。

・全経簿記能力検定
全国経理教育協会が主催。内容、構成などは日商簿記と基本的に同じ。上級と1~4級がある。全経上級が日商1級に、全経1級が日商2級に相当し、各級のレベルが日商簿記とは1ランクずれるので、目標設定時は注意。

・ビジネス会計検定
大阪商工会議所が主催。簿記検定は財務諸表の作成スキルを問われるが、こちらは財務諸表の分析の仕方が主眼。会計知識ゼロの状態から実践的・大局的に学ぶなら簿記検定より勉強しやすい場合もある。

 

3 法務&知財リテラシーに関する資格

悪事や醜聞がネットで瞬時に拡散されてしまう現代。企業には社員の法務リテラシーやコンプライアンス意識を高め、権利侵害を未然に防ぐ体制構築が求められている。法務の知識でリスク対応力を、知財の知識で身近に潜む権利侵害の回避や知財活用法を学ぶことは必須といえる。

・ビジネス実務法務検定
民法、商法を中心に、会社法、労働法、国際法務など、ビジネスに関わる法知識全般について学べる。具体的なビジネスシーンに即した事例と絡めながら知識が身につくため、法律初心者にもお勧め。

・ビジネスコンプライアンス検定
コンプライアンスに関する基本的な考え方に加えて、民法、会社法、知的財産法、独占禁止法、労働法などビジネスに関連する法律についても幅広く学べる。

・知的財産管理技能検定
2008年に民間資格から国家資格へと格上げになった資格。著作権、特許権、意匠権、商標権など知的財産について幅広い知識が問われる。自社の知的財産を適切に管理、活用、運用するノウハウが身につく。

 

4 メンタル&モチベーション管理に関する資格

労働者のメンタル不全が社会問題化し、必要性・重要性が高まっている部下のメンタル管理力。研究が進み有用なノウハウが蓄積されつつある、チームマネジメントに欠かせないモチベーション管理力。これからの時代は両者とも自己啓発として高めておきたい能力だ。

・メンタルへルス・マネジメント検定
大阪商工会議所が主催するメンタル系の代表的な資格。試験コースは一般社員向けのⅢ種(セルフケアコース)、管理職向けのⅡ種(ラインケアコース)、経営幹部向けのⅠ種(マスターコース)の3種類。

・公認モチベーション・マネジャー
㈱リンクアンドモチベーションと東京未来大学が開発した、モチベーションの専門スキルと実践スキルの両方が身につく資格。「Basic」と管理職向けの「Advanced」があり、自身のモチベーションアップにも役立つ内容。

・ビジネス心理検定
「マーケティング心理編」では営業や広告宣伝にも役立つ手法を、「マネジメント心理編」ではチームのモチベーション向上やリーダーシップなど、実務に有益なスキルが身につけられる。

 

これから役立つ!注目の資格

1 英語系資格
英語教育は年々、低学年化している。2020年度には「小学3年生からの必修化」と「小学5年生からの教科化」が完全実施される。また、学校における英語教育の内容も変わりつつあり、大学入試では「聞く」「読む」「話す」「書く」という英語4技能を適切に評価するため、民間の資格・検定試験が活用されるように。40代以上のビジネスマンは早ければ10数年後、英語を小学校から当たり前に学んできた世代と一緒に仕事をするということになる。今から英語を勉強しておかないと若い世代と対等に仕事ができないばかりか、社内での立場が危うくなる恐れもある。そうした事情から、今また英語系資格が注目されている。
TOEICなら、600点以上を目指したいところ。英語の実務、運用能力を求める企業は面接試験のある英検を重視することもある。実はTOEICは海外では格別メジャーではない資格なので、海外で英語スキルをアピールするのであればTOEFLやIELTSの受験を。「工業英検」「観光英語検定」などで自身の仕事内容に特化・直結した英語を学ぶことも有効だ。

 

2 IT系資格
文部科学省の主導により、英語と同じくIT教育も低年齢化が進行中。現在、高等学校では選択科目授業として「情報の科学」の中に、中学校では2012年から「技術・家庭科」の授業の中にプログラミングの授業が取り入れられている。この流れを受けて、20年からは小学校でも必修化が決定した。社会人になる以前に基本的なITスキルを体得した若い世代に駆逐されないためにも、学んでおくべきと言える。
WordやExcelの実務レベル向上を目的とするなら、「Microsoft Office Specialist(MOS)」の資格勉強を。MOSのアドバンス版といえる「VBAエキスパート」資格は、職場で重宝される資格。MicrosoftのExcelやAccessで使われるプログラミング言語「VBA」を学び、業務の精度と効率化を極められるからだ。「IoT検定」では、IoT(Internet of Things)の技術のみならず企画・開発・活用するための知識を得られて社内での評価にもつながる。

 

《『THE21』2018年7月号より》

著者紹介

鈴木秀明(すずき・ひであき)

資格コンサルタント/All About「資格」ガイド

1981年、富山県生まれ。東京大学理学部卒業。東京大学公共政策大学院修了。これまでに取得した資格は、中小企業診断士、行政書士、気象予報士、証券アナリストなど660以上。著書に、『10年後に生き残る最強の勉強術』(クロスメディア・パブリッシング)、『効率よく短期集中で覚えられる7日間勉強法』(ダイヤモンド社)など。

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