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売れない人ほど真っ先に聞く?「予算」に関する誤解

2018年05月27日 公開
2023年05月17日 更新

<連載>間違いだらけのビジネス常識(5)船ヶ山 哲(レムズリラ代表)

船ヶ山哲

値下げをせずにお客を満足させるには?

「日本の習慣上、値下げは通例でしょ」と思い込んでいる人も多いわけですが、お客にとって値下げは本来の目的ではありません。これは考えれば、すぐにわかることです。

とくに、サラリーマンの場合、多少、値下げしてもらったところで、そのぶん給料が増えることもありません。にもかかわらず、なぜ値下げ交渉は行なわれるのかというと「自分の意見を尊重してほしい」という心理が働くからです。つまり、値下げをしなくても「特典」をつけるなどして、その人の意見を尊重してあげればいいのです。

このように言うと、「値下げも特典も同じでしょ」という人がいますが、まったく違います。値下げは、利益をダイレクトに圧迫します。が、特典の場合、極論すれば原価がゼロでも「○○万円相当」といった価値を付加できるのです。

さらに、この特典を活用するメリットは、その客が上司に報告する際に「値下げは規定上できないということでしたが、そのぶん、○○万円相当分の特典をつけてもらえました」と、担当者の「お手柄」にすることで、より強固な信頼を積み上げることもできるのです。

ですので、今後、あなたの口から「今回の予算は……」という言葉が出そうになったら、お口にチャックをすることです。

ただ、一つだけ注意があります。それは、特典であれ一度、口にしたものは「絶対に守る」ことです。約束は信頼に大きな影響を与えるからです。

「どうせ特典だから、まあいいか」などと甘く見ていたら、あなたの信用は一気になくなります。それだけは、注意してください。

著者紹介

船ヶ山 哲(ふながやま・てつ)

レムズリラ代表

1976年、神奈川県生まれ。心理を活用したマーケティングを得意とし、人脈なし、コネ
なし、実績なしの状態から、起業後わずか5年で1,000社以上のクライアントを獲得。その卓越したマーケティング手法は、数々の雑誌やメディアに取り上げられ、現在ではテレビ番組(テレビ神奈川)のメインキャストを務めるほか、ラジオ番組(FM横浜)でもメインパーソナリティーとして活躍中の起業家。また、プライベートでは子供の教育を最優先に考え、マレーシアのジョホールバルに在住。

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