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あなたの会社でもし、日大のような「事件」が起きたら?

2018年06月04日 公開

山見博康(広報・危機対応コンサルタント)

広報の対応次第で、組織の命運は大きく分かれる

去る5月6日、アメリカンフットボールの試合において、日本大学の選手がプレーを終えた関西学院大の選手に背後から激しくタックルし負傷させた事件は、世の中を大いに騒がせた。日大は10日に公式サイトに謝罪文を掲示し、関学大からの質問に文書で答えたりするだけで、公式に記者会見にて見解を表明したのは23日になってから。それも、選手が自らの言葉で謝罪を表明した後であった。この間の経緯については、事件の当事者だけでなく、日大の広報の対応のまずさや遅さについて、多くの人から疑問の声が上がった。

この事件についての報道や論説はすでに世に溢れているので、多くは語らない。だが、こうした「事件」は、どんな会社でもいつ発生するか誰にもわからないのもまた、事実だ。

では、もしあなたが広報を担当していたとして、自社内でこのような不祥事が起きたらいかに振舞うべきだろうか。どのように考え、どのような対応をとるべきなのであろうか。長年、広報の専門家として危機管理対応について指導してきた経験から考えていきたい。

 

原則は「7つの直」で対応する

危機は、いつでも、どこでも、誰にでも、まさにユビキタスに発生する。しかも、理由もなく、何の前触れもなく、突然やってくる。危機発生の際には、以下の「7つの直」を実践することが、トラブルの拡大を最小限にするためのキーワードだ。つねに念頭に置いてもらいたい。

1(トップへ)直報
2(現場に) 直行
3(事態を)直視
4(互いに)直言
5(衆知で)直作
6(内外へ)直報
7(組織が)率直・素直

まず、問題の第一発見者は、トップへ直ちに連絡する。それも、直属の上司に伝えるとともに安全センターにも連絡するなど、複数のルートでトップに上げる必要がある。というのは、人によって「すぐ」には差があるから。中でも、出世意欲の高いエリートなどは、その情報が重要だと理解しているからこそ、保身のため意図的にスピードを遅らせることがある。なるべく早くトップに知らせるためには、複数のルートを使うべきなのだ。

次の「直行」とは、現場に直ちに“行く”とともに、“行う”こと。つまり、直ちにアクションを取るのである。

まず、事態を「直視」し、当事者から正確な情報を集める。お互いに包み隠さず、隠蔽なく「直言」し合って、確認情報や未確認情報を整理し、時系列的にまとめていく。

この情報収集の段階で留意すべきことがある。それは、各人の立場や置かれた状況によって、情報のスピードとその品質に差が出るということ。つまり、人は問題の核心に近づけば近づくほど、“保身”が頭をよぎり、知っている情報をいつ、どの程度開示すべきかを考え出すのである。

こうした情報収集と並行し、衆知を結集して公式見解=ニュースリリース及びQ&Aを作成する。その際のキーワードは、「To be good=会社としていかにあるべきか」を考えることだ。

「出たがらない」トップを説得するのも広報の仕事 >

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著者紹介

山見博康(やまみ・ひろやす)

広報・危機対応コンサルタント

1945年福岡県生まれ。1968年九州大学経済学部卒業。同年神戸製鋼所入社。人事部、鉄鋼事業部、海外勤務を経て、1979年より一貫して広報に携わる。1991年広報部長、1994年ドイツ・デュッセルドルフ事務所長を歴任。1997年スーパーカー商業化ベンチャー企業及び経営コンサルティング会社に出向。中小企業経営を学んだ後、2002年山見インテグレーターを設立し、現在、代表取締役。米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院マネジメントプログラム修了。10年に及ぶ海外生活や大小企業における豊富な実践経験に基づいて、広報・危機対応・マーケティングに関するコンサルティングを中心に、セミナー講師、執筆活動などを行なう。
主な著書に、『広報の達人になる法』『だから嫌われる』(以上、ダイヤモンド社)、『広報・PR実務ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)、『企業不祥事・危機対応広報完全マニュアル』(自由国民社)、『勝ち組企業の広報・PR戦略』(PHP研究所)などがある。

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