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「世界史」を知ることで 今の国際情勢が理解できる

2018年07月12日 公開
2022年03月02日 更新

茂木誠(駿台予備学校世界史科講師)

「思想のポジション」で世界の枠組みを捉える

 世界史は国々の関係性が複雑すぎてよくわからないという人も多いはず。歴史における各国のポジションや利害関係を広い視野で理解するにはどうすればいいでしょう。そこで参考にしていただきたいのが、下の図です。近年の世界的指導者が掲げる思想やその支持層、メディアのスタンスを図上にマッピングしています。

 左上の「資本家寄り・グローバリズム」にあたるのは、ウォール街や多国籍企業など。左下の「労働者寄り・グローバル」は現在の中国共産党です。右上の「資本家寄りのナショナリズム」は保護貿易主義。日本で言うなら農業団体です。右下の「労働者寄りのナショナリズム」は、移民に雇用を奪われたくない人々の移民排斥運動です。

 ちなみに、トランプの思想は右上ですが、右下の人々の票を得られる政策を提唱して選挙に勝ちました。対して、彼の敵であるアメリカの主要メディアは左上。スポンサーの多くが多国籍企業だからです。

 こうして見ると、どの国の指導者がどのような思想を標榜しているのかが一目瞭然。また、それぞれの立場にあるメディアの立場の違いもわかり、それぞれの偏向ぶりも理解できるでしょう。

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著者紹介

茂木誠(もぎ・まこと)

世界史講師

東京都出身。駿台予備学校、ネット配信のN予備校にて、東大・一橋大など国公立志望者向けの世界史講座を担当する。歴史上の人物が憑依したかのようなドラマチックな講義スタイルで、学生からの支持も厚い。各種受験参考書に加え、『ジオ・ヒストリア』(笠間書院)、『「日本人とは何か」がわかる日本思想史マトリックス』(PHP研究所)など著書多数。近年はYouTube「もぎせかチャンネル」にも注力する。

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