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算数が苦手なマラウイ人。その出血大サービスとは?(マラウイ)

2018年07月03日 公開
2018年07月03日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(35)石澤義裕(デザイナー)

一見、エリート風営業マン。でも計算力ゼロ


市場のお米売り。マラウイのお米は、日本米に似ています。

保険屋で、車両保険に加入したときのこと。

「25,000クワチャになります」

アフリカでは珍しく、襟付きのシャツを着た賢そうなお顔の営業マン。

米ドルで払ってもいい?って訊いたら、

「そ、それは構わないけれど……」

電卓を握ったまま、フリーズしてしまいました。

米ドルとクワチャの為替を口にしたものの、計算できないのです。

ボクらの言い値に言いなりにならざるを得ず、グローバリズムの波が来ないことを祈ります。

マラウイ湖のほとりのレストランで、名物の焼き魚を肴にビールを飲んだときのこと。

ちなみにマラウイでビールを飲むなら、なぜかデンマーク王室御用達のCarlsberg Greenです。

ビールの話は横に置いといて、お会計をお願いしたら手書きの請求書。領収書はレジスターが印刷したレシート。

ぜんぜん金額が合いませんが、レジスターより自分の計算を信じる誇り高きマラウイ人ですから、検算しても合いません。

 

サービスにもほどがある! 売れば売るほど赤字の八百屋

きわめつけは、野菜問屋から聞いた話です。

身につまされるほどの涙ものですから、ハンカチを用意して聞いてください。

kg単位で仕入れたものを、5個単位で売っている玉ねぎ屋。

おじさん、それ、仕入れ値より安く売ってるんじゃないの?

数値を単純化して説明すると、1kg1,000円で仕入れたら、玉ねぎが50個。1個あたり20円になりますよね。

20円の玉ねぎを5個セットにして、どういうわけか、売価90円!!!

つまり5個売ると、10円の損。

しかも愛想の良い性格が災いして、ときどき一個おまけしてたりなんかして。

「毎度ありー!」

文字通りの出血大サービス。

血だらけ。

誰か、算数教室を開いてやってください!


ゴムの木の樹液を丸めたボールを売るおじさん。2個500円のボールを3個で600円にしてとお願いしたら、そうとう悩んでました。割り算の暗算は難しいですよね。

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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