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後悔しない! 不動産投資 成功の大原則とは?

2018年07月18日 公開
2023年03月14日 更新

『THE21』編集部

大家

成功する大家さん、失敗する大家さんの違いとは?

定年後の安定した資産作りに役立つと人気の不動産投資。一般に「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われるが、そのリスクを最小化するためにはどうしたらいいのだろうか。また、最近は詐欺まがいの事件も起きている。「失敗しない」不動産投資家を目指すために必要な知識をまとめてみた。
 

不動産投資は「リスクを見極める」時代に

ここ最近、不動産投資関連にて相次いで世間をにぎわす事件が起きている。中でも話題となったのが「シェアハウス投資事件」。「30年の家賃保証」を謳いシェアハウスへの投資を集めた「かぼちゃの馬車」が、実際には想定通りの家賃収入が得られず破綻。この事件ではリスクに目をつぶり融資を続けたスルガ銀行にも批判が集まり、捜査のメスが入ることになった。

また、いわゆる「サブリース問題」も話題になっている。家賃保証(入居者が入らなくてもその分の家賃を業者が払う)という契約をしていたにもかかわらず、突然、家賃の減額を求められる。それを拒否するといきなり契約を解除される……。

ただ、一方で成功を続けるサラリーマン大家も数多く存在している。彼らが口をそろえて指摘するのが「勉強の重要性」だ。

不動産投資の仕組みをきちんと理解すれば、それに関わるリスクも正確に判断できる。

たとえば、高利回りを得るには相応のリスクを取ることが必至だとわかる。今回のシェアハウス投資のような「美味しすぎる話」があれば、「何かカラクリがあるのではないか」と疑うこともできるだろう。では、失敗しない不動産投資のためには、どんな心構えを持つべきなのだろうか。

弊誌では、これまでも数回にわたり専門家や現役の「お金持ち大家さん」への取材を行なってきた。そうした人たちの話の中から、いくつかの「成功の原則」をまとめてみた。
 

自分が何を目指すかを明確に

不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われるが、その中でも相対的にリスクの高いもの、低いものがある。たとえば、都心の一等地の物件は価格が高いぶん利回りが低くなるが、値崩れの危険性が低く、売却も比較的容易だと言われる。

一方、地方や駅から遠い物件は高利回りが狙えるぶん、リスクも高くなると言われる。

では、どちらを選ぶべきかというと、それは自分の「目標」によってくる。もし、早期でのセミリタイアを目指したいのなら、ある程度のリスクを取ってでも高利回り物件を狙う必要が出てくるかもしれないし、逆に老後の資金の足しになればいい、と考えているのなら、利回りは低くとも将来的に価格が落ちにくい物件を選ぶほうがいいだろう。

ここがぶれていると、つい無理をして過大なローンを抱えてしまったり、逆に「思ったほど儲からない」と早々に諦めてしまうことも。目標を定めたうえで、長期プランに基づいた戦略が必要だ。
 

利回りの仕組みを理解する

不動産投資において重視される「年間利回り」。1年間で得られる家賃を物件価格で割ったものであり、2000万円の物件で年間家賃が100万円なら、年間利回りは5%となる。

注意したいのは、利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があること。

先ほどのように単純に家賃と物件価格の比率を示すのが「表面利回り」だが、不動産投資には修繕積立金や保険、管理手数料などさまざまな経費がかかる。

これら経費を引いた額こそが実際に自分の手元に入ってくる金額となり、その比率を「実質利回り」という。

基本的なことではあるが、ここを間違えると返済プランに大きな狂いが生じる。
 

「将来の人口動態」に気を配る

不動産投資の最大のリスクは、予定通りに部屋が埋まらない「空室リスク」。だからこそ場所選びが重要なのだが、物件を長期間保有することを考えれば、場所選びも長期で考える必要がある。

たとえば、今は人気でも高齢者が多い地域は、早晩人口減少に見舞われる危険性がある。大学があり若者が多い地域は賃貸需要も高いが、その大学が移転しないという保証はない。再開発計画の有無、鉄道の新路線・新駅計画、地域ごとの人口増減予測……。こうした情報に常に気を配り、先を見据えることが重要だ。
 

ローンを恐れない。でも無理をしない

不動産投資には数百万~数千万円単位の金額が必要になるため、多くの人はローンを組むことになる。

不動産投資がサラリーマン向けだと言われる理由の一つも、ローンを組みやすいことだ。ただ、ここを躊躇してしまうと、いい物件が出てきてもなかなか踏み出せず、機会を逸してしまうことになる。

一方で、借りられるからといって身の丈に合わないローンを抱え込むのも考えものだ。後述する「出口戦略」と照らし合わせ、無理のない計画を立てるべきだ。
 

出口戦略を考えておく

現在は上昇を続ける不動産価格だが、いずれ下がるという予測を持つ人も多い。また、現在の低金利がいつまで続くのかもわからない。今後どうなるかの予測は難しいが、万一に備えて「出口戦略」を持っておくべきだろう。

具体的には、物件価格が暴落した場合やローン金利が上がった場合などを想定し、売却や繰り上げ返済などのシミュレーションをしておく。その物件を購入するかどうかの判断も、シミュレーションの結果、「ここまでのリスクなら取れる」と判断してから下すべきだろう。
 

自分に合った不動産会社選びを

また、やはり識者が指摘するのが「業者の見極め」である。不動産投資は長期にわたる投資だ。それだけに、本当に信頼できる業者選びが必要となる。情報の精度や実績などはもちろん、その会社がどのようなポリシーを持っているか、そして、社員にそれが浸透しているかなども重要な判断基準だ。

さらに、不動産会社は個々に得意とする分野がある。都心に強い会社。ある地域では抜群の実績を持つ会社。中古区分に特化している会社。リフォームにより築古物件を再生することに長けた会社など。そうした不動産会社ごとの個性を知ることも、自分にぴったり合った会社を見つけるためには不可欠だ。

「不動産投資にはリスクはある。だが、勉強することでそのリスクを減らすことができる」──多くの識者がこう指摘する。書籍や雑誌などで知識を増やすとともに、多くの不動産投資会社から話を聞き、見聞を広める。

一獲千金の道などないと心得て、人生100年時代に向けた備えを、今から始めておくべきだろう。

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