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「大企業の社員」ほど転職に苦労する理由とは?

2018年07月20日 公開
2023年03月14日 更新

黒田真行(ミドル世代専門転職コンサルタント)

転職活動は今の会社を辞める前に行え

結局、Dさんは、1年と数カ月、転職活動を行い、同じ前職企業を先に辞めた先輩がいる会社に入社を決められました。

業界も違う、職種も営業をしながら商品管理もするような仕事で、企業規模も小さな会社です。年収はおそらく600万円ぐらい。前職の半分になりましたが、それでも何とか転職できたのは、条件を広げて検討されたことが功を奏したのかもしれません。

Dさんは、転職マーケットを十分に調査することなく早期退職制度に応募して、転職活動にかなりのご苦労をされたわけですが、もし事前に市場の現実を調べていたら、早期退職制度には応募しなかったかもしれません。

まだ会社を辞める前に転職の相談をさせていただく方にお話しすることが多いのですが、転職先が決まる前に現在の会社を辞めてしまうのは非常にリスクが大きい。求人が多い20代~30代前半ならまだしも、求人が少ない35歳以上の人は、可能な限り転職先を決めてから会社を辞めることをすすめます。

特に、大企業に長く勤めている人は、社外情報に疎くなっている可能性が高く、かつ転職市場の処遇相場を大幅に上回る年収になっていることが多いために、いざ転職活動を始めると、大きなギャップに戸惑ってしまうリスクが高くなります。想定外の事態を避けるためには、退職を決める前の転職活動を強くお勧めしています。

(『40歳からの「転職格差」』より一部抜粋・編集)

著者紹介

黒田真行(くろだ・まさゆき)

ミドル世代専門転職コンサルタント/ルーセントドアーズ[株]代表取締役

1965年生まれ。89年、関西大学法学部卒業後、リクルートに入社。B-ing、フロム・エーの関西版編集長などを経て、2006年よりリクナビNEXTなどの編集長を8年間務める。12,000人を超える転職者・人事責任者などと接し、転職活動のノウハウや日本の中途採用市場、マッチングの構造に精通。14年、ルーセントドアーズを設立。近著に、『40歳からの「転職格差」』(PHPビジネス新書)。

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