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「パワハラ」をしない&されないためにできること

2018年12月03日 公開

齋藤誠子(社会保険労務士)

社労士が教えるグレーゾーンの事例に学べ!

昨今、ハラスメント関連の話題がメディアを賑わせ、企業でもコンプライアンスが厳しくなっている。しかし、パワハラだと言われることを過剰に恐れるあまり、「部下を叱れない」「コミュニケーションが取りづらい」などの声も聞かれる。そこで本企画では、多くの労使問題を手がける社会保険労務士の齋藤誠子氏に、グレーゾーンになるような事例も交え、解説していただく。(取材・構成=西澤まどか)

 

「受け手の主観」以外に判断する要素とは?

昨今、「ハラスメント」が社会問題になっています。性的嫌がらせである「セクシャルハラスメント」に加え、主に上司が部下に対して精神的・身体的苦痛を与える「パワーハラスメント」や産休・育休取得者や子育てに関わる社員に対する「マタニティハラスメント」なども、職場の問題としてよく耳にします。ハラスメントをどう防止するかは、企業にとっても悩みの一つになっているようで、私たち社会保険労務士に対しても相談の声が寄せられています。

先述したとおり、ハラスメントという言葉は社会に浸透したと言えます。しかし、実際の職場ではどこまでがハラスメントに該当するのか、はっきり線引きすることは難しいものです。

中でも特に、職場での線引きが難しく、問題になりがちなのがパワハラです。ひと昔前ならば指導の一環として多少厳しく叱ることがあったと思いますが、それも今ではパワハラと言われる可能性が大いにあります。

この問題を難しくしているのは、「受け手」のとらえ方次第でハラスメントと認識されたり、されなかったりすることです。「苦痛」と感じる範囲に個人差があり、グレーゾーンの言動をどうとらえるかが問題です。

しかし、すべてのハラスメントが「訴えた人の主観で決まる」というわけではありません。ここで、定義を今一度確認してみましょう。

厚生労働省の定義によれば、「パワーハラスメント」とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」のことです。

 ここで言う「職場内の優位性」とは、「直属の上司から部下」だけに限られません。会社内での立場や人間関係といった「その職場内での優位性」も含まれます。同僚であっても、社歴が長いという立場を利用した場合は該当します。

 

「給湯室に呼び出し注意」はパワハラになる!?

この定義を踏まえたうえで、何がパワハラに該当するのかを考えてみましょう。受け手の苦痛ももちろん重視されますが、特に以下の三つに触れると、パワハラ認定の可能性が高まります

雇用を脅かす

人格を否定する

③業務の適正な範囲を超える

たとえば、実際にあった事例で説明します。ある会社で、上司が部下に注意しようとしたとき、「給湯室」に呼び出し、口頭で注意を行ないました。上司からしてみると、皆の前で叱るのは良くないと思ったことから、部下に配慮して別室に呼んだつもりでした。しかし部下のほうは、「小部屋に追い込まれた」と、逆に威圧的に感じパワハラだと訴えたそうです。

このケースでは、注意した内容については職務上妥当なものでした。ただし、呼び出して威圧的に注意したことが部下に苦痛を与えたこと、またその内容が雇用の継続に影響を与えるものだった(先述の①に該当)ため、パワハラが問われました。

 

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著者紹介

齋藤誠子(さいとう・せいこ)

社会保険労務士

1989年、東京都生まれ。2012年、専修大学法学部卒業。弁護士事務所にてパラリーガルとして刑事・民事・労働問題に携わる。14年に社会保険労務士の資格を取得。社会保険労務士法人・大槻経営労務管理事務所に入所。

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