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「パワハラ」をしない&されないためにできること



2018年12月03日 公開

齋藤誠子(社会保険労務士)

パワハラにならない注意の仕方とは?

 では、パワハラに抵触しないように、部下にどのような注意の仕方をすればいいのでしょうか。具体例を紹介します。例えば、遅刻の多い部下がいた場合です。

「今月の遅刻は3回目だよね。毎日飲み歩くの、やめたらどうだ。よくそんなことで、子供の父親が務まるな」

この言い方はパワハラに抵触します。「遅刻が3回続いた」という事実を注意することはかまいません。プライベートな生活態度まで言及した後半の言い方は「人格否定」と捉えられかねません。

では、この言い方はどうでしょうか。

「これ以上遅刻が続くなら、プロジェクトから外れてもらうよ」

この場合、「プロジェクトから外すだけの理由」が説明できるかどうかが重要になります。「重要なプロジェクトであり、時間を守れない人には任せられない」「実際に遅刻によって他のメンバーやクライアントに迷惑をかけた」など、明確な理由があれば、遅刻が多いことに対する処罰の予告であり、ハラスメントに抵触しないと考えられます。

一人だけ仕事を多大に与えたり、逆に与えなかったりという、「業務の適正な範囲」を超える行為もパワハラにあたります。ただ「業務の適正な範囲」は上司の采配によるところが大きいです。同じ量の仕事でも、「多すぎる」と受け取る人もいれば「これくらいは普通」と考える人もいます。

「業務の適正な範囲」を超えて、多大/過小に仕事を課したかどうかの判断は、「労働時間」がハラスメントを計る一つの目安となります。

たとえば、ある部署の平均残業時間が10時間だとします。そんな中で一人だけ、「残業時間が70時間」「逆にまったく仕事がない」といった場合です。ここでも「相応の理由」を説明できるかどうかがカギになってきます。なぜその人だけ業務が突出して多い/少ないのかがきちんと説明できなければ、パワハラ認定の可能性が高まります。

与える仕事の内容についても同じです。例えば、自主的な退社を促す「追い込み部屋」。新聞をスクラップするなど生産性のない仕事をやらせて退社に追い込む例ですが、この場合でも、もしこうした業務がその会社にとって必要であるなら、「報復的異動」とは直ちに直結しないでしょう。

 

知識を得たうえで境界線を共有する

パワハラだとやり玉に上げられないためには、「ルールの規定」と「情報の共有」がカギとなります。

 ハラスメントについて研修を受けるなど、知識を持つことももちろん大切です。ですが、自社の場合はどうなのか、現場に照らし合わせた「線引き」を事前に決めておくこと。そしてハラスメントの境界を社員みんなで「共有」することが最大の予防策です。

またハラスメントは社内だけとは限りません。「接待を強要される」「しつこく交際を申し込まれる」など、取り引き先から受けることもあります。社外のことは無関係と放置するのは、ハラスメントハラスメントを助長させてしまう可能性があります。

「クライアントから個人的な連絡先を聞かれた」といった場合にどのように対処するかなど、ルール決めをして部下が混乱するのを防いだケースがありますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

パワハラと言われないための3カ条

事実を指摘し、人格否定をしない
「遅刻した」「書類に不備があった」ことは業務に差し障るため間違いを指摘することは必要。「普段からいい加減なダメ人間だから」「こんなこともまともにできないなんて無能だな」などは人格否定にあたる。

②雇用を脅かすような言い方をしない
「失敗が続くようでは辞めてもらわないと困る」「次の契約更新はないな」など、雇用の継続を掲げ、支配するような言動は避ける。雇用を脅かす発言や表現は不適切。

③「業務の適正な範囲」を超えない
相談や説明なしに仕事を取り上げる、他の人より多く仕事を与えるなど。その人しかできない仕事など、正当な理由なしに仕事の量を極端に増やしたり、減らしたりしない。

 

 

<『THE21』2018年11月号より>

 

 


著者紹介

齋藤誠子(さいとう・せいこ)

社会保険労務士

1989年、東京都生まれ。2012年、専修大学法学部卒業。弁護士事務所にてパラリーガルとして刑事・民事・労働問題に携わる。14年に社会保険労務士の資格を取得。社会保険労務士法人・大槻経営労務管理事務所に入所。

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発売日:2020年09月10日
価格(税込):700円

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