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想像以上に厳しい「老後の住宅事情」

2018年09月26日 公開

山下和之(住宅ジャーナリスト)

これからの時代、「持ち家なし」のリスクは回避すべき!

人生100年時代、当然、家に住む期間も長くなる。100歳まで生きることを前提に考えたとき、住まいはどのように選んだらいいのか。定年後30年、40年を加味したうえでの家の選び方を住宅ジャーナリストの山下和之氏にうかがった。

 

人生100年時代、家は現役のうちに買う!

「持ち家と賃貸、どちらがお得か」は、昔から議論されてきたテーマです。しかし、人生100年時代を想定するなら、答えは一つ。「親から家を相続できる人以外は、購入すべき」です。

 いずれ親から実家を受け継ぎ、定年後に住む家を確保できるなら、無理に買う必要はありません。でもそのあてがないなら、現役のうちに家を購入すべきです。なぜなら最悪の場合、住む場所を失う懸念があるからです。

 年金の受給額は、今後間違いなく下がります。少ない年金の中から毎月5万円や10万円の家賃を払い続けるとしたら、家計は相当厳しくなります。しかも高齢になれば、医療費などの支出も増えます。よほどの蓄えがない限り、定年以降も賃貸生活を続けるのはかなり負担が大きいと考えるべきです。

「定年が延長されて70代まで働く時代がくるのだから、家賃くらい稼げるだろう」と思うかもしれません。しかし、60歳を過ぎたら給与は下がります。役職定年制がある大企業なら、50代から給与が下がることもあります。家賃を支払いながら、若い頃と同じ生活水準を保つのは簡単ではありません。

「これからは少子化で空き家が増えるから、今より安く部屋を借りられるようになるのでは」と楽観的に考える人もいますが、現実は甘くはありません。

 賃貸物件の大家は、部屋を高齢者に貸すのを敬遠します。「安定した収入がないので、家賃が払えなくなるかもしれない」「万が一のことがあると事故物件になる」などが理由です。特に単身の高齢者は、入居審査の時点でかなり厳しく選別されます。持ち家がなく、賃貸物件にも入居できなければ、住む場所がなくなってしまいます。

 この現実がある以上、やはり現役時代に住宅を購入することをお勧めします。もちろん、一戸建てにしろマンションにしろ、固定資産税や管理費、修繕費などの維持費はかかります。しかし賃料に比べれば負担は少ないし、何より住む場所さえ確保できれば、最低限の生活は保証されるという安心感があります。

「自分は実家を相続できるから大丈夫」と安心している人も、油断は禁物です。実家の場所が駅から遠かったり、坂が多かったりして移動が不便なら、高齢者が暮らすのは大変です。

また、夫は自分の実家に住めばいいと思っていても、妻は「住み慣れた今の街を離れたくない」と考えることもあります。よって、家族と定年後の暮らし方について早めに話し合い、実家に住むのが現実的に難しいのであれば、やはり自分たちで住宅を購入する必要があります。

 持ち家があれば、定年後の選択肢も広がります。高齢になって通常の生活を送るのが難しくなったら、自宅を売却し、その資金で介護や食事提供などのサービス付き高齢者住宅や有料老人ホームに移ることもできます。あるいは自宅をリノベーションして賃貸に出し、自分たちは夫婦二人で小さなマンションに移り住むことも可能です。

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著者紹介

山下和之(やました・かずゆき)

住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。編集プロダクション勤務を経て、90年に独立。住宅、不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・執筆の他、セミナー講師やメディア出演など幅広く活躍中。著書に、『2017‐2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)など。

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