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壽屋「プラモデル・フィギュアの枠を超え、自社IPでさらなる成長を目指す」

2018年11月07日 公開
2022年10月25日 更新

【経営トップに聞く】清水一行(壽屋社長)

 

清水一行

 

自社IPを他社にライセンスして幅広い横展開を

 ――決算説明資料では、自社IPについても多く触れられています。

清水 現在、基盤事業となっている、他社IPのプラモデルやフィギュア、雑貨などをしっかりと足固めしたうえで、海外展開も進める、というのがベースです。そして、さらなる今後の成長のために考えているのが、自社IPの育成です。

 徐々に自社IPの商品の割合を増やしていき、デジタルの技術を最大限に活かして、事業領域を拡大していきます。

 ――自社IPの取り組みは、いつから始めたのでしょうか?

清水 オリジナル商品は、ガレージキットメーカーになったときから扱っています。けれども、ガレージキットという商品である以上、ガレージキットに興味のある人にしか買っていただけませんでした。

 しかし、IPを立ち上げれば、そこから、プラモデルにも、PVC(ポリ塩化ビニル)のフィギュアにも展開できるし、アニメにも、雑貨にも展開できる、というように、横に広げていけます。

 当社の強みはプラモデルやフィギュアなので、それ以外は他社にライセンスを販売して展開することを考えています。全部を自分たちでやろうという考えはまったくなくて、それよりも、自社IPを増やすことに力を使いたいと思います。

 ――すでに『フレームアームズ・ガール』などの自社IPが成功していますが、その要因はなんでしょうか?

清水 『フレームアームズ・ガール』については、たまたまだと思います(笑)。もともとプラモデルが売れていたので、ゼロからのスタートではありませんから。

 とはいえ、昨年、アニメ化してテレビ放送したことによって、プラモデルのファンだけに受け入れられていたところから、アニメファンや声優ファンにも広げることができました。まだアニメについての知識や経験がない段階だったので、今ならもっとうまく展開できたんじゃないか、とも思っていますが(笑)。

 私の弟は『宇宙戦艦ヤマト』の初期の頃に参加したりしていたアニメーターで、アニメ自体はもともと身近な存在として感じていました。実家にアニメーターが集まってお酒を飲んでいる場に私も混ざったりしていましたから。

 ――今後も、自社IPはプラモデルを起点として立ち上げるのでしょうか?

清水 いえ、自社IPを育てるセクションを、プラモデルの事業部よりも上流に設けます。そして、自社IPの展開の一つとして、プラモデル化の企画が出てくれば、それは自社でやる。それ以外については他社にライセンスを販売する、という形にします。プラモデルありきで考えるよりも、そうしたほうが、広がりが大きいですから。

 

著者紹介

清水一行(しみず・かずゆき)

〔株〕壽屋代表取締役社長

1954年、東京都生まれ。78年、父が経営する〔有〕壽屋(96年に株式会社化)に入社。86年、2代目代表取締役に就任。2017年、JASDAQに上場。

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