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その「働き方改革」はうまくいっているか?

2018年10月22日 公開
2023年03月14日 更新

沢渡あまね(業務改善・オフィスコミュニケーション改善士)

 

社員に愛着心がない組織の問題点とは?

 次の「エンゲージメント」とは、「組織に対する愛着心」や「仕事の誇り」のこと。

 一般的に、社員のエンゲージメントが高いと、健全な成長欲求と問題意識が芽生え、本音で意見を言い合える関係が生まれます。すると、社員から自発的な改善の提案が出やすくなり、仕事の改革も進みやすくなります。

 逆に、エンゲージメントが低い社員は仕事のムダや矛盾を内に溜めがち。その結果、職場の問題が顕在化しにくくなり、組織としてのリスクが高まります。

 エンゲージメントを高める方法の一つとして、前述のインターナルコミュニケーションの活性化が挙げられます。また、仕事のノウハウが共有され、業務のプロセス化が実現できている組織ほど、社員のエンゲージメントが高まりやすいという傾向もあります。

 例えば、社員満足度の高いサイボウズ[株]や日本マイクロソフト[株]は、社内にて共通のITプラットフォームを通じて社員同士が密接なコミュニケーションを取ることが可能になっており、誰が何をしていて、困ったときに誰に聞けばいいかがすぐにわかるようになっています。

 さらに、過去の事例や資料にもいつでもアクセス可能。このように社内ナレッジが容易に活用できる仕組みを整えることが、業務効率化はもちろん、エンゲージメントの向上にもつながるのです。

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著者紹介

沢渡あまね(さわたり・あまね)

業務改善・オフィスコミュニケーション改善士/あまねキャリア工房代表

1975 年、神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、日産自動車、NTTデータなどを経て、2014年にあまねキャリア工房を設立。複数の企業で「働き方見直しプロジェクト」などのアドバイザーとして活躍。ベストセラー『職場の問題地図』(技術評論社)シリーズなど、働き方改革に関する著書多数。

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