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難解な本は最初に 「あとがき」から読もう

2018年10月29日 公開
2023年03月14日 更新

鎌田浩毅(京都大学教授)

本を「思考の文房具」にして書き込もう

 本を読む行為は、考えることそのもの。思考の足跡を残すために、線を引いたり、書き込みながら本を読む方は多いと思います。私にとっても本は、まさに「思考の文房具」なのです。

 私は4色ボールペンを使いながら本を読んでいます。赤は、今の仕事に必要な内容。青は、今の仕事に関係ないけれど、興味や関心がある内容。緑は、将来のネタとして使えそうな内容。黒はメモ用として使い分けます。

 とはいえ、参照したいときに、どこに線を引き、メモしたのかを忘れてしまっては意味がありません。

 そこで、私は本を読む際は必ず、検索機能を高めるため「クロスレファレンス」を作成しています。メモしたページにスムーズに移動するための言わば「道標」です。

 ポイントは、見返しや扉といった余白の多いスペースに、短くまとめること。メモを記載したページ数を一望の下に俯瞰できるので、簡単に検索できます。

 クロスレファレンスは、一冊の書籍の中だけで完成せず、関連する書籍を記載するのもお勧めです。蔵書が有機的なつながりを持ち、自分の知的世界のネットワークが広がっていきます。

 最近は、電子書籍の検索とメモの機能が非常に高いので、そちらが得意な方はアナログから移行してもかまいません。

 以上の読み方さえ知っていれば、どんなに難しい本でもまったく怖くなくなります。ぜひ、専門外の本や過去に挫折した本に再度挑戦してみてください。

 

『THE21』2018年10月号より

著者紹介

鎌田浩毅(かまた・ひろき)

京都大学教授

1955年生まれ。東京大学理学部卒業。通産省を経て97年より京都大学教授。専門は地球科学。テレビや講演会で科学を解説する「科学の伝道師」。京大の講義は毎年数百人を集める人気。著書に『地震と火山の日本を生きのびる和恵』(メディアファクトリー)、『火山と地震の国に暮らす』(岩波書店)、『火山噴火』(岩波新書)『もし富士山が噴火したら』『座右の古典』『一生モノの勉強法』(以上、東洋経済新報社)など。

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