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「構造」を意識して読めば、文章を書く力が身につく

2018年11月06日 公開

渋谷和宏 (作家/経済ジャーナリスト)

「リズム感」のいい文章をお手本として音読

良質な文章を読むことは、文章を「書く力」をつけることにもつながる。実用文にはわかりやすく伝えるセオリーがあるので、読むことでそれを学び取ることができるからだ。しかも、「読み方」を変えるだけで、書かずに文章が上手くなるという。そう指摘するのは、一流ビジネス誌編集長として活躍した渋谷和宏氏だ。一体、どんな方法なのか。お話をうかがった。

文章の読みやすさは「小段落の冒頭」で決まる

 突然で恐縮ですが、次の文章をご覧ください。どちらが読みやすいでしょうか。

A 週末ともなれば多くのランナーが皇居周辺に集う。ランニングがかつてないブームに沸いている。テレビでは女優やお笑いタレントが長距離に挑戦する企画をよく目にする。あなたの周りにも最近ランニングを始めた人がいるのではないだろうか。

B ランニングがかつてないブームに沸いている。週末ともなれば多くのランナーが皇居周辺に集う。テレビでは女優やお笑いタレントが長距離に挑戦する企画をよく目にする。あなたの周りにも最近ランニングを始めた人がいるのではないだろうか。

 いかがでしょう。内容はどちらも同じなのに、多くの人は、Bのほうが読みやすいと感じたのではないでしょうか。

 理由は、文の順番にあります。 

 読みやすい文章は、冒頭の一文で小段落を要約したり、伝えたい内容の前振りをしています。これを「リーダーとしての文(牽引役)」と私は呼んでいます。

 その後に、リーダーとしての文を補足したり、証明するために、フォロワーとしての文(付き従う文)が続きます。冒頭の文を受け、根拠となるファクトやリーダーを補完するエピソードを説明していくのです。

 実際に、先ほど紹介した文章を見ていきましょう。

 Bは、一番伝えたい「ランニングがブームである」というメッセージを、小段落の冒頭に持ってきています。続いて、週末に多くの皇居ランナーが集うこと、有名人が長距離走を始めているエピソードを紹介し、ブームである根拠を示しています。

 一方で、フォロワーとしての文から始まるAは、これから何を伝えようとしているのか見えてきません。そのため、論旨が不明瞭になってしまうのです。

 冒頭で先の見えない文章を読ませるのは、地図や羅針盤を持たせずに森の中に誘いざなうようなものです。読み手にストレスや不安を与えるので注意が必要です。

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著者紹介

渋谷和宏(しぶや・かずひろ)

作家・経済ジャーナリスト、大正大学表現学部客員教授

1959年横浜市生まれ。1984年日経BP社に入社。日経ビジネス記者として取材、執筆を行う。1998年同誌副編集長、2002年日経ビジネスアソシエを創刊し初代編集長を務め、2006年4月18日号では10万部を突破する。日経ビジネス発行人などを務めた後、2014年3月末、日経BP社を退職、独立。現在は作家、TVコメンテーター、ラジオパーソナリティーなど幅広く活躍している。
主な著書に長編ミステリーの『銹色(さびいろ)の警鐘』(中央公論新社)『罪人(とがびと)の愛』(幻冬舎)、ノンフィクションの『稲盛和夫 独占に挑む』(日本経済新聞出版社)など(以上、渋沢和樹の筆名)。主な出演番組は『シューイチ』(日本テレビ)『森本毅郎・スタンバイ!』(TBSラジオ)『まるわかり!日曜ニュース深堀り』(BS-TBS)『渋谷和宏・ヒント』(TBSラジオ)など。趣味はランニングと大衆酒場めぐり。

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