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「聴く+音読」で語彙力は驚くほどアップする!

2019年01月15日 公開

山口謠司(大東文化大学准教授)

語彙を奪う「受け身のメディア」に要注意!

今、語彙力に関する本が続々とベストセラーになっている。「語彙力に自信がない」という人が増えているからだと思われるが、それはなぜなのか。また、語彙力を増やすためにはどんな方法があるのか。大学教授で語彙力本のベストセラー著者である山口謠司氏にうかがった。(取材・構成=内埜さくら)

 

テレビと動画サイトが語彙力を奪っている!

今、「語彙力」がキーワードになっています。語彙力に自信を持てない人が増えているようです。

私は、その原因として、活字文化とラジオ文化の衰退が挙げられると考えています。活字文化のほうは言わずもがなですが、ラジオも実は、言葉のみで伝えるメディア。同音異義語が多く発せられるため、リスナーは無意識に言葉を漢字に変換しつつ聴き、自然と語彙力を身につけていました。また、ラジオのリスナーは読書好きとも言われています。ラジオも活字も、語彙力を鍛えるには最適なアイテムだったのです。

それに比べて、バラエティ番組などのテレビや、今の若い人たちの間で人気の動画サイトなどは、ただなんとなく観るだけの「受け身のメディア」。これらの過度な視聴も、語彙力低下の一因だと思っています。

テレビやネットから生まれる流行語は、ひと言で伝わるインパクトのあるワードですが、そればかり使うことによる弊害もあります。例えば、今やあらゆるものの形容詞に用いられる「やばい」という言葉。「やばい」ばかり使っていると、「やばい」と言い出す以前はどのように表現していたか、忘れてしまう人が多いものです。このように、簡単でわかりやすいため、それまで有していた語彙を消し去ってしまう威力があるのです。

 

「黙読」では語彙を身につけられない!

では、現代人が語彙力を高めるには、どのような方法があるのか。私がお勧めする方法は、まずは、「聴く」、その後「音読」するという方法です

この方法を推奨する理由は、わからない言葉が出てきたときに、無視して通過できないからです。黙って目だけで書かれているものを読む、いわゆる「黙読」は、わからない言葉があっても文章の前後のつながりで理解したふりをしてしまうケースが多いものです。

これは、現代文などの文章を読んで回答する試験で、「わからない単語は飛ばして読む」という方法が習性になっているから。ですが、声に出さないと実は本当の意味で自分のものになっていないのです。英語の場合も同じで、「TOEICで高得点を取っても英語が話せない人」が多くいるのはこのためです。

一方で、聴く+音読という方法では、読めない言葉に必ずつまずきます。すると、ネットや辞書で意味を調べる作業が必然的に付随するため、語彙力がつくのです。

1日1分間からでも良いので、音読を始めてみましょう。まずはオーディオブックなどで内容を聴きます。もう一度読みたい作品があったら、今度は書籍を目で追いながらオーディオブックを聴いて音読するのです。音声を聴いた直後に復唱する英語の学習法、シャドーイングと同じ手法です。慣れてきたらナレーションを聴かずに、書籍を音読してみてください。

「聴く」ときは、書籍を朗読した録音音声コンテンツのオーディオブックが、手軽で便利です。満員電車での通勤中も難なく聴くことができます。聴いているだけで情景が浮かんでくる、落語やラジオを流し聴きするのもいいでしょう。

音読に特にお勧めの文章は、明治時代の文豪たちが執筆した、不朽の名作です。現代人は当時の文豪たちの3割ほどの語彙力しかないと言われているからです。川端康成や夏目漱石、森鴎外や島崎藤村などを音読してみてはいかがでしょうか。

ここで注意すべきことは、「音読と朗読は別物」ということです。朗読は、他者に聴かせるための行為。音読は自分への読み聞かせです。声を出して読むときは、自分の内側にベクトルを集中させる、音読を意識しましょう。

滑らかに読もうとする必要はありません。意味を理解しながら自分に読み聞かせることで語彙力を高められます。

私は、歌詞の音読もお勧めしています。カラオケで歌う前に一度、歌わずに歌詞を読んでみるのです。プロが作った歌謡曲の詞を音読すると、言葉選びの素晴らしさに改めて気づかされるはずです。

語彙力がつくと、知性と教養が話の端々に表れるようになります。深い話もできるようになるため、人間的な魅力も高まります。ネットで簡単に調べられる情報ではない話に、人は惹きつけられるものだからです。

 

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著者紹介

山口謠司(やまぐち・ようじ)

大東文化大学准教授

1963年、長崎県生まれ。現在、大東文化大学文学部中国学科准教授。中国山東大学客員教授。博士(中国学)。長崎県立佐世保北高等学校、大東文化大学文学部卒業後、同大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。『一流の語彙力ノート』(宝島社)など、著書多数。

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