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マネーリテラシーの低い日本人が最初に学ぶべき「あること」とは?

2018年12月05日 公開
2023年03月14日 更新

鈴木隆史(日本私産運用協会代表理事)

学生も陥りがちな「リボ払い」の恐怖とは?

金融リテラシーが低いために、いろいろな問題が起きています。たとえば、コツコツと貯金をしてきた人が、いきなりリスクの高い株式やFXなどに手を出すというケース。お金はあっても金融に対する知識がないばかりに、こうした人が後を絶ちません。

また、若い世代にも多いのが「リボ払いのトラブル」です。

ご存知の方も多いと思いますが、リボルビング払い(リボ払い)とは毎月あらかじめ指定した一定額を返済する方式です。問題点としては、支払額(借入額)が多くなると返済期間が長くなり、利息の負担が著しく増加することです。つまり利息ばかり払い続けて元本(借入金額)がほとんど減らない状況に陥る危険性があるのです。

大学生になって初めてクレジットカードを手にした人が、「月々の支払いが少ないから」という理由でこのリボ払いを使って欲しいものを限度額まで購入。ただ、いつまでたっても支払いが終わらずに、ついには自己破綻する……そんな学生が少なくないそうです。これは、親が子供に金融知識やリスクをしっかりと教えていないからこそ起こるケースでしょう。

ちなみに、消費者金融が原因で多重債務者に陥るのは大半がこのケースです。テレビCMで金融会社がリボ払いを推しているのを見ると、恐怖を感じます。

 

資産ではなく「私産」を増やすことの重要性

こうした状況に危機感を覚え、2011年5月に国際弁護士や士業など4人の発起人と「日本私産運用協会」を設立し、約7年半が過ぎようとしています

「日本の金融知識を高め、人々を幸せにし、日本を豊かにする」

「次世代に伝えられる正しい金融教育を普及させることにより、明るい未来を創る」

これらの実現を目指していきたいという思いの元、全国に200名の講師(事務局ではプランナーと呼んでいます)の方々が、全国で「初心者からの私産運用セミナー」勉強会を開催するなど活動をしております。

ところで、我々が「資産」ではなく、「私産」という表記をしているのは、間違いではありません。資産というと実際に保有しているものだけと捉えられがちですが、お金についての知識や経験も含め、すべてが大事なプライベートアセットだと定義して、「私産」と表現しているのです。

個人なら個人単位の、夫婦であれば世帯単位での私産を増やしていくことが、将来の安心につながっていきます。

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著者紹介

鈴木隆史(すずき・たかし)

日本私産運用協会代表理事

明治大学商学部卒業。食品(飲料メーカー)の営業と開発、青果物商社の営業マネージャーを経て、現在はファイナンシャルコンサルティング企業で活躍する。
20代後半にビジネスにチャレンジするも失敗。クレジットカード7枚のリボルビング払いまで手を出し、一時は借金返済のためにトリプルワークを経験。自身がお金に関して何も知らなかったので、これから私産について勉強していく方々に分かりやすく伝えたいという想いが強い。子供向けファイナンシャル教育の底上げのためにも、まずは大人から基礎を学ぶ必要があると考えている。
日本私産運用協会の理念に共感し、2013年に協会認定講師資格である私産運用プランナーに合格。以降、協会の講師とし公演活動を行う。ファイナンシャルプランナーの有資格者でもある。協会の理念を深く理解し、分かりやすく正確に伝えるその姿勢は、協会を代表する私産運用プランナーとして称賛を得ている。
2015年より日本私産運用協会の代表理事に就任。また同年にファイナンシャルカンパニー日本法人の代表に就任。日本私産運用協会(http://j-pama.org/)

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