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40代の「記憶の落とし穴」に打ち勝つ方法とは?

2019年02月20日 公開
2023年03月10日 更新

碓井孝介(司法書士)

「キーワード」&「2点暗記法」で記憶のネットワークを作ろう

40代が勉強を進める中で最も不安な要素は「記憶」だろう。丸暗記するのは不可能だし、そんな時間もない。では、どのように覚えればよいのか。自ら編み出した効率的な記憶術によって司法書士、公認会計士に合格し、資格スクール講師を務めた経験もある「暗記の達人」碓井孝介氏に、その方法について教えていただいた。(取材・構成=西澤まどか)

 

40代の集中力が続かない二つの理由

どんな資格試験でも、合格のためには「覚える」ことが必須です。しかし、多くの40代の方は、「学生の頃のように暗記ができない」「人の名前が出てこないことがある」など、「記憶力に自信がない」と言います。

では、歳をとるから記憶力が衰えるのかというと、そうではないと思います。私は数多くの40代受験生と接する中で、40代には「記憶の落とし穴」が存在することに気づきました。

一つは、「余計なことを考えてしまい、情報を素直に覚えられない」こと。目の前にある情報を覚えるとき、10代ならばその「字面」に集中して覚えようとしますが、40代の人は文言から勝手に他の場面を想定し、想像を膨らませてしまうのです。日頃から情報に接するときに、前提条件や例外などを補う思考法をしているビジネスパーソンならではの脱線ですが、記憶するうえでは邪魔になります。

もう一つは、「集中力が以前ほど続かない」ことです。勉強していても仕事のことなどが頭をよぎり、他のことが気になってしまうのです。忙しさや肉体的な衰えから疲労を感じやすいことも要因の一つでしょう。

 では、こうした「落とし穴」がある中で、合格に必要なことを確実に覚えるにはどうすればいいのか。「限られた時間で、情報を絞って、集中的に覚えること」が必要です。

 

優先順位のヒントは過去問にあり!

では、具体的にはどうするか。まずは覚えるべきことの優先順位を決めることが必要です。

私は、資格の学習では、まず「過去問」を解くことを勧めています。

もちろん、知識がないまま過去問を見ても、すぐにはわからないと思いますが、最初はそれでいいのです。ここで着目すべきは、情報の「登場の仕方」と「登場の頻度」です。

「登場の仕方」とは例えば、ある情報は「選択式」で問われることが多く、また別の情報はだいたい「記述式」という傾向がある、といったことです。法律の知識なら、「条文そのまま」を問われるのか、それとも「事例を読み解く」のか。設問形式を押さえるだけでも、その情報をどのように覚えるべきかが変わってきます。

もう一つ、「登場の頻度」は、学習の優先順位に関わります。毎年のように出題される事項もあれば、たった1回だけのものもあることや、「数年前まで連続して出てきたのに、近年は出題されない内容」なども、過去問から見えてきます。優先して記憶すべき情報は、もちろん毎年出題される問題です。また、何度も登場する言葉は当然「キーワード」であるとわかります。

このように、最初に過去問に挑戦することは、覚える内容を絞ることにつながるのです。

参考書を読むときにも、過去問で何度も登場したキーワードを意識しながら読むといいでしょう。1ページ目の最初から読み進めるのではなく、まずその章で、どんな情報が大切なのか、「主張・結論」を先に押さえる読み方がお勧めです。大事な部分を知ってから詳細を読むほうが、効果的に情報が頭に入ってくるからです。

 

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著者紹介

碓井孝介(うすい・こうすけ)

1984年、北海道生まれ。暗記を中心とした独自の勉強法で、難関大学に現役合格。在学中に司法書士試験、卒業後に公認会計士試験に合格。大手監査法人勤務、資格スクール講師を経て、現在は司法書士として実務に携わる。著書に、『頭のいい人は暗記ノートで覚える! 「時間は半分、成果2倍」の勉強法』(三笠書房)など。

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