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『SIXPAD』大ヒットの裏側はどうなっていたのか?

2018年12月22日 公開
2023年01月30日 更新

『THE21』編集部

 

当初から「ブランドを守る」ことを重視

 マーケティングについては、当初からブランドを守ることを重視した。

「取り扱っていただく企業を一気に増やすと、お客様への売り方を管理しきれません。『SIXPAD』について正しく理解していただき、お客様にその価値を伝えていただくために、まずは、市場ごとに取り扱っていただく企業を1社に絞りました。その1社ごとに信頼関係を構築し、売り方についての教育もさせていただいたのです。その後、取り扱っていただく企業を増やしていきました」(熊崎氏)

 2年目になると、サプリやトレーニングスーツなども発売し、『SIXPAD』ブランドの商品数が増えてきた。そこで、家電量販店などでの「ショップ・イン・ショップ」の展開も始めた。

「家電量販店では、ショップ・イン・ショップの出店を条件に、販売しています。これも、ブランドを守るための施策です。現在、49店あって、家電量販店の中でも坪当たりの売上げが高い売り場になっています」(熊崎氏)

 

 

Creation・Technology・Branding・Marketingを同時に進めるブランド開発システム

 一般的な企業では、技術や営業、広告宣伝など、業務内容ごとに組織が作られていて、技術を担当する部署は様々な商品を開発し、営業を担当する部署も様々な商品を売る、という体制が取られているだろう。

 ところがMTGでは、ブランドごとに組織が作られている。つまり、『SIXPAD』を扱っている社員は、技術担当もマーケティング担当も広告宣伝担当も、皆、熊崎氏の部下という立場になっているのだ。『ReFa』や『MDNA SKIN』など、他のブランドについても同様だ。

『SIXPAD』の部署にも、『ReFa』の部署にも、それぞれに技術担当者もいればマーケティング担当者もいるわけで、一見、効率が悪いようにも思えるが、「ブランド開発カンパニー」を自認するMTGにとって、これがベストだという。

「『SIXPAD』の部署には40人以上の社員がいますが、毎朝、朝礼をして、月ごとのP/L(損益計算書)を全員で共有しています。それによって、技術者も商品の売上げ状況を把握しながら経費を使えますし、マーケティングも開発の状況を把握しながら動けます」(熊崎氏)

 働く場所も、一部を除いて、1フロアに集約されているという。様々な企業でよく見られる技術とマーケティングのコミュニケーションの問題が、こうした体制によって生じにくくなっているわけだ。

 ブランド間の人事異動も頻繁にあるので、ブランドごとに壁ができてしまうこともないという。

「当社は『人がブランドを創り、ブランドが人を創る』という言葉を掲げていますが、最終的な強みは『人』です。ですから、ブランドの責任者として、部下との信頼関係を強くすることは常に意識しています。人の心は日々変わりますから、それをきちんとケアすることを心がけていますね。食事に一緒に行くことも、よくあります」(熊崎氏)

 毎月1回は、各チームメンバー全員で集まる「活性会」という交流活性の場が設けられている。社内にある和室や居酒屋など、やり方は各チームで決めており、会社から補助も出るので、他の全ブランドも必ず行なっている。

「活性会では、『普段は言えない感謝の言葉を伝える』などのプログラムを用意しています。互いを認め合い、理解が深まることで、仕事のモチベーションが向上しています。『抱えている課題を全部出す』というプログラムのときもあります。子育てなどで、夜は参加できない社員もいるので、ランチで同様のことをすることもあります」(熊崎氏)

『SIXPAD』を統括する前は、イベントを企画するなど、プロモーションを担当していた熊崎氏。当初は戸惑ったというが、「松下にずいぶん鍛えてもらいました。これからも仲間と一丸となって、『SIXPAD』を日本発の世界No.1 EMSブランドにします」とのこと。

 今年10月には、足裏とふくらはぎを鍛えることができ、高齢者や普段歩かない内勤者などに向けた『SIXPAD Foot Fit』が、11月にはヒップトレーニグを目的とした初の女性向け製品『SIXPAD Bottom Belt』が発売されるなど、まだまだ進化する『SIXPAD』。さらなる展開が楽しみだ。

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