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リーディングを鍛えるには、「捨てる・飛ばす・投げる」で和訳しない読み方を

2019年02月18日 公開
2023年03月10日 更新

繁村一義(NPO多言語多読理事)

 

単語は和訳ではなくイメージで捉えるクセを

 多読の具体的な方法に入る前に、多読をするに当たって必ず守ってほしい「3原則」についてお話ししましょう。

 一つ目は、「辞書を捨てる」。つまり、辞書を引かないことです。

「辞書を引かずに、どうやって英語を読むの!?」と思うでしょうが、最初は子供向けの易しい本から始めて、少しずつレベルを上げていくのです。辞書を引かなくても済むような簡単な英語で書かれた本なら、辞書は必要ありません。文章よりもビジュアルのほうが多い、子供向けの絵本から始めるのがお勧めです。

 どんなに英語が苦手でも、「I love you.」や「Good morning!」くらいはわかるでしょう。しかも、頭の中でいちいち「私はあなたを愛しています」「おはよう」と日本語に訳さなくても、英語を英語のまま理解できます。「辞書を捨てる」とは、「頭の中で日本語に訳さない」ということでもあるのです。

 そもそも、英和辞典は「日本語訳として成立する可能性がある日本語」を並べているだけで、単語の意味を説明しているわけではありません。だから、「have」や「get」など、簡単な単語ほど、たくさんの訳語が並んでいるのです。

 ある英和辞典で「run」を引くと、90以上の訳語が並んでいます。その全部を覚えることはできないので、多くの人は「run=走る」と覚えてしまいます。そのために、「Red hair runs in his family.」という文を見たときに、「髪が走る?」と混乱してしまうのです。

 しかし、「run=連続して続いていく」というイメージで捉えていれば、「赤い髪が遺伝しているということだな」とわかります。

 このように、英和辞典にある日本語ではなく、イメージで捉えたほうが、英語を理解できるようになります。ビジュアルが多い絵本から多読を始めるべきなのは、英語をイメージで捉える習慣が身につくからです。

 

わからない単語・表現は推測もせずに読み飛ばす

 3原則の二つ目は、「わからないところは飛ばす」です。

 わからない単語や表現があったら、前後から意味を推測したり、読み返したりせず、どんどん飛ばして先へ読み進めてください。

 意味不明な単語や表現が次々と現れて、「内容がまったくわからなくてつまらない」と思ったら、3原則の三つ目、「自分に合わないと思ったら投げる」を実践しましょう。「この本は今の自分には合わなかっただけだ」と割り切って、別の本を読めばいいのです。

 そのときはわからなくても、重要な単語や表現なら色々な本に繰り返し出てくるので、そのうちに「こういう意味だったのか」とわかるようになります。

 例えば私は、多読を始めた当初、「pull up」が何を意味するのかわかりませんでした。しかし、そのうちに、この表現が出てくるのはクルマから降りるシーンだということに気がつきました。それで、「これは『クルマを停める』という意味なのだな」と理解することができました。

 

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著者紹介

繁村一義(しげむら・かずよし)

NPO多言語多読理事

1955年、広島県生まれ。20歳で英検3級に落ちたレベルから、多読によりTOEIC900点を超え、仕事でも外国人ばかりのチームをリードできるように。現在は、本業のエンジニアとして活躍する傍ら、講演や指導を通して多読の普及に尽力。共著書に『英語多読 すベての悩みは量が解決する!』(アルク)がある。

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