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年間646万トン。日本を覆う「食品ロス」問題の解決に挑む

2019年02月16日 公開
2023年03月10日 更新

川越一磨(コークッキングCEO)

 

世界的に盛り上がる「持続可能性×ビジネス」というテーマ

 ――川越CEOが食品ロスの問題の解決に取り組もうと思ったのはなぜですか?

川越 当社は、『TABETE』を始める前から、料理を使った法人向けの研修事業をしていたのですが、たまたまスローフードの団体と出会って、国連大学前で開かれるファーマーズマーケットに毎月参加するようになったんです。そこで規格外の野菜を買い取ってスープにし、無料で配っていたのですが、これでは社会は変わらないと思いました。もっと大きなムーブメントを起こしたいと思っていたときに、フェイスブックのタイムラインに流れてきて知ったのが、デンマークの『Too Good To Go』というサービスです。「これを日本でもやろう」と思いました。

 ――欧州には、『TABETE』のようなサービスがあったわけですね。

川越 『Too Good To Go』は2015年にスタートしたサービスなのですが、欧州9カ国に展開していて、1万5,000店舗以上が登録されており、これまでに1億食以上が売買されています。

 スーパーに特化した同様のサービスはオランダにもありますし、レストランに特化したものはシンガポールにもあります。BtoCだけでなく、ロンドンの『OLIO』のように、CtoCのサービスもあります。世界中で、都市ごとに盛り上がっているサービスがある状況ですね。

 日本で言えば、月額制の『Reduce GO』や、メーカーや問屋で発生する食品ロス問題を解決する『KURADASHI.jp』が、『TABETE』以前からありました。

 ――食品ロス問題への関心が、世界的に高まっているということでしょうか。

川越 「持続可能性×ビジネス」は、これから欠かせないテーマだと思います。

 ――現在、『TABETE』は国内最大級のフードシェアリングサービスだということですが、今後の展開としては、どのようなことを考えていますか?

川越 昨年4月のサービス開始から累計で3,000食強が売買されていますが、これから1~2年の間は、都内や主要都市で、さらにサービスの利用を広げていきたいと思っています。

 また、どのくらいの規模の都市ならビジネスとして成立するのかも見極めていきたいですね。一定の規模よりも小さい街だと、CtoCのモデルのほうが適しているかもしれません。法の規制があるので、CtoCのフードシェアリングサービスを始めるのは簡単ではありませんが。

 将来的には、『TABETE』がライフラインとして機能する社会を作れればと思っています。

著者紹介

川越一磨(かわごえ・かずま)

〔株〕コークッキング代表取締役CEO

1991年、東京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。和食料理店での料理人修行、大手飲食チェーンでの店舗運営などを経て、2015年に〔株〕コークッキングを創業。山梨県富士吉田市にてコミュニティカフェ『LITTLE ROBOT』の立ち上げなどを行なう。現在はフードロス問題に挑戦するフードシェアリングサービス『TABETE』の事業などに取り組んでいる。

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