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いい企画が生まれて広がる「アイデア会議」のススメ

2019年03月19日 公開
2023年03月10日 更新

加藤昌治(博報堂PR戦略局部長)

 

最初のアイデアは自分の「わがまま」でいい

 こうした状況を回避するために必要なのが、「アイデア会議」です。まずはアイデアをたくさん出す会議をしてから、そこで出たアイデアを取捨選択して、企画書に整える作業へと進むべきなのです。3案から選ぶよりも100案から選んだほうが、面白いアイデア入りの企画を生み出せる可能性が高いのは、感覚的にもわかるかと思います。

 予算や納期などの諸条件を本格的に考慮するのは、アイデアを出す段階ではなく、そのあとの企画書を整える段階です。この辺りの調整は、日常的に鍛えられている人が多いでしょうし、経験によって様々な方法が身につきますから、あえてここで説明する必要はないでしょう。

「そもそも、アイデアとはどういうものなのかがわからない」という人もいるでしょうが、ご安心ください。最初のアイデアは、ただの思いつきでかまいません。「こんなことがしたい」「こんなモノがあったら面白い」といった「わがまま」でOKです。

 

「1案1枚」で紙に書き出して持ち寄る

 では、アイデア会議は、具体的にどう進めればいいのか。

 まず、リーダー(ディレクター)がお題を出して、メンバー(プランナー)がそれぞれアイデアを持ち寄ります。

 その際、「こんなくだらないアイデアを提出するのは恥ずかしい」という気持ちは捨てましょう。皆さんも経験したことがあると思いますが、他のメンバーに評価されるのは、一押しのアイデアではなく、二番手や三番手のものであることが少なくありません。「ダメだろう」と思っていたアイデアが「いいね!」と言われることもあります。自分の中で判断してしまうことは、組織としての「機会ロス」になってしまいます。

 アイデアは1枚の紙に一つずつ書き、机上に並べたり、壁に貼ったりして、一覧できるようにしましょう。そして全員で、「これはいいな」「これとこれは似ているな」「これとこれはくっつけられるな」などと意見を出し合っていきます。

 同じようなアイデアを近くに並べたり、いくつかのグループに分類したりと、物理的に整理することが可能になるというのが、「1案1枚」にすることのメリットの一つです。

 また、紙に書き出すことで、アイデア自体と発案者を切り離せることも大きなメリットです。アイデアに対する意見は、上司部下や先輩後輩などの序列や上下関係に引きずられてしまいがち。それを防ぐわけです。

 

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著者紹介

加藤昌治(かとう・まさはる)

〔株〕博報堂PR戦略局 部長

1970年、大阪府生まれ。94年、〔株〕博報堂入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画を立案、実施する毎日。著書に『考具』『チームで考える「アイデア会議」 考具応用編』(ともにCCCメディアハウス)などがある。

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