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「日本一学生が集まる中小企業」が教える採用のコツ

2019年03月07日 公開
2023年03月10日 更新

近藤悦康(Legaseed 代表取締役)

新卒採用とは「ドラフト」である。

いい素材を採るには、中途採用のほうが効果的だと思う人もいるかもしれません。ですが、たとえば大谷選手のような人材を中途採用で採ろうと思えば、相当のお金や環境を用意しなければなりません。また、いつ募集をかければいいかといったタイミングを読むのも難しいのが現実です。

一方、新卒採用はいわば「ドラフト」です。他社と平等なフィールドで優秀な人材を確保するチャンスがあり、活動時期も読みやすい。つまり、即戦力になれるいい素材を確保するためには、新卒採用のほうが効率的なのです。

とはいえ、全国的にあまり名前の知られていない中小企業の人は、「うちなんかにそんな優秀な人材が来てくれるわけがない」と思っているかもしれません。実は、そんなことはないのです。

2019年卒マイナビ学生就職モニター6月調査によれば、就活生の中で大手企業でなければならないと思っているのは約30%。つまり、70%の学生は、会社の規模や知名度ではなく、別の理由で入社する会社を選ぶのです。

実際、弊社Legaseedは、創業5年で社員も20名の中小企業ですが、後述するような施策を実施することにより、選りすぐりの人材が大手有名を蹴って入社してくれています。

では、どんな活動をすれば、優秀な人材が確保できるのか。以下、自社の実践を踏まえてご説明したいと思います。

 

「大企業の知名度」と「コラボ」せよ!

まず、大事なのが「プッシュマーケティング」の発想です。就職サイトに求人広告を掲載して、応募が来るまで待つという受け身のやり方ではなく、求める学生に企業側からスカウトしていくという発想を持つことです。

合同説明会などのイベントでは、いわば「客寄せ」として有名企業が出展しているものがあります。こうしたイベントは「有名企業にはとてもかなわない」と避けがちな企業もありますが、むしろ積極的に参加しましょう。そして、学生に「これまで知らなかったけど、こんないい会社もあるんだ」ということを認知させるのです。

学生の間での知名度を高めるためには、自社の優秀な社員の仲間や後輩に声をかけてもらったり、インターンシップなどで見つけた優秀な学生の仲間に声をかけてもらうという作戦も有効です。「類は友を呼ぶ」というように、いい人材の周りには、いい人材がいる可能性が高いものだからです。

そして、もし会社にまだ「インターンシッププログラム」がないのであれば、早急に用意すべきです。

最近では、就活生のみならず大学1、2年生や、高校生すら企業のインターンシップに参加します。こういった学生をインターンシップ、あるいはアルバイトなどで受け入れれば、早くから育成することもでき、入社の時点での戦力化レベルも高まります。「どんなインターンシッププログラムなら学生が参加したくなるか」という視点で企画をすることです。

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著者紹介

近藤悦康(こんどう・よしやす)

株式会社Legaseed 代表取締役

1979年岡山県生まれ。「はたらくを、しあわせに」を理念に、新卒採用支援を中心とした人事コンサルティング事業を手掛けるLegaseedを創業。年間1万人を超える学生が応募する企業となり、2020年度の楽天みん就調べ人気インターンランキングで総合20位、人材業界1位。これまで450社の組織変革を行い、延べ70,000名にセミナーを実施。「クローズアップ現代」「ワールドビジネスサテライト」「会社の星」などTV番組にも出演。
著書に、『日本一学生が集まる中小企業の秘密』『内定辞退ゼロ』『伸びている会社がやっている「新卒」を「即戦力化」する方法』などがある。

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