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「有言実行」の経営で、チャレンジし続ける組織を作る

2019年03月12日 公開

《PR》提供:長府工産株式会社

時代の変化に対応し業績を伸ばす長府工産の人間力

山口県下関市に本社を置く長府工産。太陽光発電システムやオール電化製品の販売で業績を拡大し続けている同社の特徴は「変革」。時代の変化に合わせ、扱う商品や業態を変化させつつ成長してきた。それを支える同社の人間力について、社長の伊奈紀道氏と松下幸之助研究の第一人者、佐藤悌二郎氏が対談した。

長府工業

伊奈紀道 長府工産株式会社代表取締役(写真左)
1943年、広島県生まれ。京都工芸繊維大学卒業後、74年、長府製作所入社。83年、同社退社。同年、長府工産入社、92年、専務取締役就任。2005年9月退任。1年半後の07年4月、社長として同社に復帰。前社長の高齢化に伴い後継者未確定で社員の不安が増す中、業績の低迷もあり経営陣への復帰を強く請われる。当時の会社の状況を知り、共に歩んできた社員の気持ちを思うと役に立てるならと就任を決断。全社員が安心を取り戻し、仕事に専念できる環境を実現することに情熱を持つことができ、新たな会社創りに取り組むこととなる。以降、売上高を就任時の44億円から209億円まで驚異的に飛躍させるなど、住宅設備機器メーカー商社として確かな地位を築く。

佐藤悌二郎 株式会社PHP研究所客員(写真右)
1980年、慶應義塾大学卒業後、PHP研究所に入社。研究員としてPHP理念および松下幸之助の経営観の研究に従事するかたわら、関連書籍、カセットテープ集などの原稿執筆、編集、制作に携わる。その間、松下幸之助所長を中心としたPHP理念研究会に出席し、PHP理念をまとめる作業を行なう。『松下幸之助発言集』(全45巻)編纂グループの主担当として、93年2月に完成させる。2014年12月専務取締役。19年1月から現職。西武文理大学特命教授、企業家研究フォーラム理事。
 

社員の心を動かした社長就任時のひと言

佐藤 伊奈社長は長府工産入社以来、営業部門を中心に活躍され、2007年に社長に就任。ただ、その間一度会社を離れていらっしゃるそうですね。

伊奈 はい、専務だった2005年に一度退社したのですが、1年半後に幹部社員たちから「社長として戻ってほしい」と要請を受けました。
最初は断ろうと思っていたのですが、先代社長からの「一切任せる」という言葉に覚悟を決め、引き受けることにしました。
そして、実際に完全に任せてもらいました。

佐藤 「任せる」というのは松下幸之助も非常に重視していたことですが、ありがたいことであると同時に「厳しい」ことでもあると思います。実際、当時の御社は大激変の真っ只中だったとか。

伊奈 長府工産の創業は1980年。業界最後発で石油給湯機市場に参入し、追いつけ追い越せで業績を拡大してきました。
ただ、オール電化の流れの中で、2001年に「エコキュート」が登場。これにより、石油給湯機の市場がほぼ半分になってしまったのです。そこで、我々もオール電化製品に参入することを決めました。

佐藤 その後は右肩上がりに業績を改善させていかれたわけですが、その要因はどこにあったと思われますか。

伊奈 私は社長就任時、「『かつて長府工産は石油給湯機を作っていたよね』と言われるくらいでもいい」という話をしました。変化への覚悟を示したものですが、一方で「この会社はちょっとやそっとではびくともしないから、思い切ってやっていこう」「生き金はなんぼでも使っていい」ということも伝えました。
先代社長のおかげもあり、ある程度の内部留保があったから言えたことでもありますが、後で、その言葉で委縮していた社内の雰囲気が大きく変わったと聞きました。

佐藤 内部留保を厚くする、というのはまさに「ダム経営」ですね。幸之助は内部留保の意義を、会社を安定させ社員とその家族を守るためと言っていますが、確かに「チャレンジをうながす」という意味もあると思います。
ただ、それにしても扱う製品を変えるというのは、大きな挑戦だったと思います。

伊奈 私は組織さえしっかりしていれば、何を扱うことになっても成果は出せると思っています。実際、オール電化事業だけでなく、太陽光発電の分野にも参入し、業績拡大に大いに貢献してくれました。
就任から10年経ち、やっと自分が思い描いていた絵が形になりつつあるかな、という気がしています。
 

経営者は「人間通」でなくてはならない

佐藤 伊奈社長のお話をうかがうと、人情の機微というか、人間心理を深く理解して、いかに気持ちよく働いてもらうかを意識しておられることがわかります。幸之助も「経営者は人間通でなくてはならない」と言っています。

伊奈 その意味で私が、幸之助さんの言葉で意識しているものの一つに「信賞必罰」があります。頑張った社員にいかに公平公正に報いるか。社長である私はもちろん、中間管理職層まで全員がその思いを持っていなくては、組織は成り立ちません。
「なんでこの人が昇格するの」と周りに思われるような人事があってはならないのです。

佐藤 幸之助は「信賞必罰大学を作るべき」とすら言っており、それほど信賞必罰は重要、かつ難しいものだと語っています。
伊奈社長はそれを実現するために、何が重要だとお考えですか。

伊奈 制度はもちろん重要ですが、私は「情報共有」が大事だと思っています。社内の情報をすべて、包み隠さずに共有する。だからこそ、社内に公平感が生まれるのだと思います。これは会社の数字も同様で、当社では「税務署に申告するのとまったく同じ数字」を社員に開示しています。

佐藤 まさに「ガラス張り経営」を実践されていますね。幸之助は従業員がわずか10名ほどしかいなかった時代から、毎月、従業員に業績を公表していました。そんな義務などなかったのですが、そうすることが、一生懸命頑張ってくれた社員への礼儀だと考えていたからです。
結果的にそれが社員の帰属意識を高め、やる気にもつながったということです。

伊奈 会社の数字を自分事だと思ってもらうことは、とても重要だと思います。弊社では昨年の夏より、全社員にストックオプション制度を導入することにしました。ボーナス時に、パートさんも含めた入社2年以上の社員全員に、200株ずつを無償支給することにしたのです。

佐藤 幸之助も福利厚生など、社員に報いることを常に考えていました。当時、こうした制度があれば、幸之助も実施していたかもしれませんね。
 

「ダイヤの原石」である人材をどう磨くか

佐藤 伊奈社長の経営からは「人が基盤」だということを強く感じます。社員教育に関してはどのような方針を取っておられるのですか。

伊奈 新入社員にいつも言っていることがあります。それは「35歳までに、会社を出ても通用するようなビジネスパーソンとしての力をつけろ」ということ。そして、それまでにその力がつかなかったら、その後の昇給はない、とも言っています。
最初の10年は会社からの評価だけでよくても、15年も経ったら社外から評価される人材でなくてはならないと思うのです。
そして、そのためには、10年後、15年後の自分をイメージして仕事をしてほしいと思っています。そこがあいまいだと、いい人生は送れません。

佐藤 それでも中には、なかなか芽の出ない人もいるのではないですか。

伊奈 そうですね。ただ、私はよく言われる「262の法則」──つまり、どんな組織でも活躍するのは上位2割で、下位2割はあまり役に立たない──という考え方が好きではありません。下位の2割でも、接し方によっては十分活躍できると思いますし、そのチャンスも与えるべきだと思っています。

佐藤 幸之助は人材について「ダイヤの原石のようなもの」だと表現し、誰もが磨けば光る無限の可能性があると考えていました。
特に初期の松下電器に集まってきた人は、必ずしも優秀な人ばかりではなかった。でも、そういう人にどうやったら活躍してもらえるかを常に考えていたのです。無用な人は一人もいないという考えがあったからこそです。

伊奈 私は「努力ができる人」ならば、必ず成功できると思っています。例えば性格的に営業には向いていなくても、努力ができる人なら、別の仕事を与えることで必ず成功できる。
逆に言えば「言って動かす」ようではダメだとも思うのです。
スポーツの世界で最近、体罰が問題になっていますが、暴力でやらされたところで、人が育つとはとても思えません。自発的に学ぶ姿勢が大事なのです。
 

繰り返し伝えなければ、組織は動かない 

佐藤 学ぶ姿勢も含め、「人間性」というものは、変えることができるとお考えですか。

伊奈 基本的には入社前に出来上がっているものだと思いますし、採用面接で見抜くのも難しいのが現実です。ただ、こちらから常に「こういう社員になってほしい」と発信し続けるしかないと思っています。

佐藤 そこが一番大事ですよね。幸之助も社員に対して、機会があるごとに、自分の経営観や求める社員像について、同じことを何度も何度も、それこそ飽きるほど繰り返していました。

伊奈 何度も繰り返すからこそ、自覚が高まるということもあります。例えば私は、「迷ったら社員のためになる選択をする」ということを常々言っているのですが、もし、それに反する選択をしたらすぐに、「言っていることと違う」と指摘されるでしょう。言葉は公約のようなものです。私は根がいい加減なので、自分を縛っておくという意味もありますが(笑)。

佐藤 有言実行という意味では、「完全週休2日制」を公約し、実現されたそうですね。

伊奈 昨年、完全週休2日制を実現しました。本当はもう少し先の予定だったのですが、現場に聞いてみるといけそうだったので「やるぞ」と。
ただ、休みが増えればそのぶん、効率を高める必要が出てきます。具体的には3.7%、生産性を高める必要がありました。
そこで何度も何度も「3.7%」と言い続け、結果的にはそれを上回る成果を上げることができました。

佐藤 松下電器が週5日制を導入したのは昭和40年のことですが、ちょうどその頃、会社は非常に厳しい状況でした。全国の販売会社・代理店の社長を一堂に集め、経営のあり方について激論を交わした「熱海会談」が開催されたのは昭和39年のことです。
ただ、昭和35年の時点で5年後の導入を発表していた幸之助は、反対があったにもかかわらず、週5日制導入を断行しました。

伊奈 やはり経営においては、有言実行が大事だということですね。
 

「水素」で新たなチャレンジを!

佐藤 常にチャレンジを続ける御社ですが、これだけ変化が激しい時代ですから、難しさもあるのではないですか。

伊奈 はい。それだけに、引き際もまた重要だと思っています。億単位で投資した案件でも、時には思い切って撤退する必要があります。

佐藤 引き際は難しいですね。松下電器で言えば、大型コンピューターからの撤退がまさにそうでした。ただ、幸之助はこのとき、面子にとらわれず、「家電に注力することで、もっと人の役に立てるはずだ」と決断しました。

伊奈 経営者は面子などで判断を狂わされてはいけないということですね。私は幸之助さんのご著書の中で『素直な心になるために』が一番印象に残っているのですが、まさに、何物にもとらわれない「素直な心」が重要なのだと思います。

佐藤 今後は、どのようなビジョンを描いておられますか。

伊奈 今、手がけているのは水素を利用した給湯システムの開発です。まだまだ実証実験段階ではありますし、実際に市場が立ち上がるのは20~30年先かもしれませんが、そのときには「水素の給湯機市場を作ったのは長府工産だ」と言われるようになりたいです。

佐藤 御社の新たなチャレンジを楽しみにしています。今日はありがとうございました。

伊奈 こちらこそ、ありがとうございました。



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