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誰もが学んだのに活用していない「5W1H」は最強の思考ツールだ!

2019年04月03日 公開
2023年03月10日 更新

渡邉光太郎(ランウィズ・パートナーズ代表取締役)

 

Whyを繰り返して思考を掘り下げる

「5W1H思考」のポイントは、各要素を四角四面に捉えずに、柔軟に応用することです。

 例えばWhenは、「いつ」だけでなく、「何日から何日まで」という期間や「いつまでに」という納期、また、スケジュールや頻度、順番など、時間軸を伴うすべての事項に使います。

 企画書をまとめる場面であれば、

・Why=目的や背景
・What=テーマ
・Who=メンバー
・When=スケジュール
・Where=実施場所
・How=段取りや進め方

 というように、具体的な事項に落とし込んで使うわけです。

 この要領で5W1Hを整理することで、思考のモレに気づくことができ、バランスの良いプランニングや分析が可能になります。

 ちなみに、6要素の中で、一つだけ、他とは性質の違うものがあります。それはWhyです。

 他の5要素は事実の中から拾い出すことができますが、Whyだけは、頭の中で考えなくてはなりません。

 頭の中で考えることなので、Whyは、何度も重ねて問い続けることができます。そして、本当に目指すべき目的を確認するためには、Whyを繰り返すことが重要となります。

 例えば、「ペーパーレス化を進めよう」というとき、「Why?」と問いかけることで、「ムダな社内業務プロセスを削減するため」という目的を確認することができます。

 そして、ここで留まらず、さらに「なぜ、社内業務プロセスを削減するのか?」と問うことが重要なのです。そうすることで、例えば、「社内ではなく、顧客のほうを向く風土を作るため」といった、真の目的を確認することができます。

 真の目的がわかっていないと、社内業務プロセス削減のために、より社内にばかり意識が向いてしまうといった、本末転倒の結果になりかねません。

 商品のコンセプトを考えるときにも、Whyを繰り返して真の価値にさかのぼることが有効です。

 

「ひらめき頼み」から卒業しよう!

 ここからは、5W1H思考がとりわけ使いやすく、かつ高い効果を発揮する、三つの場面での使い方を紹介しましょう。

 一つ目は、「アイデア発想」です。

 アイデアは「ひらめき」だと思われがちですが、5W1Hを使えば、意図的に、システマチックに、アイデアを広げることができます。

 6要素のうちの一つ、または複数を取り上げて、別のものに変えることで、ありきたりの発想から一歩出られるのです。

 パナソニックの携帯用電動歯ブラシ「ポケットドルツ」は、「Where」に着目したアイデア発想の例です。

 このヒット商品が生まれた発端は、ある社員が昼食後の会社の洗面所で、「電動歯ブラシを売っている部署なのに、皆、手で磨いている」という疑問を抱いたことだったそうです。電動歯ブラシといえば、「家の中」で使うものだったのです。そこで、Whereを「家の中」から「家の外」に変えたことで、ポケットドルツが生まれました。

 この例のように、特に商品企画を考えるときには、5W1Hに着目するのが効果的です。「Who=誰が使うのか」「When=いつ使うのか」といったことを整理して、既存の商品とは違った方向に目を向けると、新しい商品の企画ができるでしょう。

 

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説明の「3点セット」と説得の「Why-How」 >

著者紹介

渡邉光太郎(わたなべ・こうたろう)

〔株〕ランウィズ・パートナーズ代表取締役

早稲田大学卒業、英国国立レスター大学経営大学院修了(MBA)。東芝、大手シンクタンク、グロービスを経て、現在は、〔株〕ランウィズ・パートナーズの代表として、企業の事業戦略立案・業務改革推進の「伴走コンサルティング」を行なっている。ビジネススクール・研修講師、コンサルティングの他、フラワースタジオの経営などにも携わっている。著書に『シンプルに結果を出す人の5W1H思考』(すばる社)など、近著に『仕事で必ず結果が出るハイパフォーマー思考』(PHP研究所)がある。

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