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200万部突破!池上彰氏が語る『伝える力』誕生秘話&人気の理由



2019年04月03日 公開

池上彰(ジャーナリスト)

「素人」が作った番組だからこそ、伝わる

――相手が「大人」だから、どんな話し方をしても通じる、とは考えないほうがいいということですか。

「そうですね。『週刊こどもニュース』がユニークだったのは、ニュース番組であるにもかかわらず、スタッフが子供向け番組の担当者ばかりで、報道については素人だったことです。だからこそ、視聴者にとって『何がわからないか』がわかる。もし、報道のプロが作っていたら、この番組はうまくいっていなかったと思います。
実はこれはテレビ朝日の『池上彰のニュースそうだったのか!!』も同じです。スタッフのほとんどはバラエティの人。だから、視聴者の目線に合った、わかりやすい番組になっているのだと思います」

 

「わからない」が、チャンスになる

――「何がわからないか」を知ることが、伝える力を磨くことになるわけですね。

「今、いくつかの大学で講義をしていますが、そこで受ける質問も刺激になります。
例えば先日、ある大学で日銀の金融緩和について説明をしました。民間銀行が持っている国債を日銀が買い上げることで、市場に現金を供給する……という話をしたのですが、授業後、ある学生から『なぜ民間の銀行が国債を持っているんですか?』という質問を受けたのです。
『本当は銀行も預かったお金を会社に貸し出したいのだけど、景気が悪くて借り手がいないので、国債を買っているんだよ』などと説明しながら、相手の表情を見てハッと気づいたのです。そこで、『もしかして、銀行は預けたお金を金庫に大切にしまっていると思っている?』と聞いたら、『えっ、違うんですか?』と」

――まさに「そこからですか」。

「はい、そこから説明しなくてはならなかったのです。そこで翌週の授業では、銀行が企業にお金を貸し、それを元手に企業が収益を上げて、利子をつけてお金を返すという金融の基本の話をしたわけです。
こうした発見はとても勉強になります。今後、授業やテレビで金融緩和について伝える際は、企業が銀行からお金を借りていることを知らない人も意識しながら伝えればいいのですから」

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記者時代の「上から目線」の失敗談 >



著者紹介

池上彰(いけがみあきら)

ジャーナリスト

1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学卒業後、73年NHK入局。報道記者として、松江放送局、呉通信部を経て東京の報道局社会部へ。警視庁、気象庁、文部省、宮内庁などを担当。94年より11年間NHK『週刊こどもニュース』でお父さん役を務める。05年3月にNHKを退社し、現在はフリージャーナリストとして多方面で活躍。著書に『そうだったのか!現代史』(集英社)、『相手に「伝わる」話し方』(講談社現代新書)、『ニッポン、ほんとに格差社会?』(小学館)など多数。

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2020年8月

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発売日:2020年07月10日
価格(税込):700円

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